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「潜在的失業」状況に関する一考察113る。何らかの形で就労しているが,非定着型の就労である場合や,調査期間はたまたまアルバイトした場合,また,職を求めながらも調査期間中は求職活動をしていなかった場合など....

「潜在的失業」状況に関する一考察113る。何らかの形で就労しているが,非定着型の就労である場合や,調査期間はたまたまアルバイトした場合,また,職を求めながらも調査期間中は求職活動をしていなかった場合など,定義上は「失業者」ではない人であっても,長期的・将来的には失業状態に陥る可能性が高いと考えられる不安定就労層や,実質的には失業状態にあり,積極的な雇用対策や就労支援が必要である無職者などについても,「潜在的失業」状況にある者としてとらえ,以下で分析・検討していきたい。②「潜在的失業」状況に関する検討課題 本研究では,「潜在的失業」状況について2つの想定を設け調査を行った。第1のケースは,自分が派遣や契約社員,パートタイマーなどの非正規社員として働いていて,満足していない場合で,転職を希望し,求職活動を行うかどうかを問うものである。また,第2のケースは,失業している場合に,就職を希望するか,また希望する場合,どのような状況で求職活動を行うかである。 以下では,こうした条件下でいわゆる「潜在的失業」状況にある場合,どのような要因で失業者として捉えられないか,失業者と定義される条件のうち,どの条件に該当しないかという点について検討したい。さらに,どのような特徴・傾向をもった人が「潜在的失業」状況に陥りやすいかについても検討したい。ジョブカフェ高知などでインタビューした内容をふまえて,私たちは「潜在的失業」状況に陥りやすい人は,明確な目標や目的意識,自己アピール能力やコミュニケーション能力などが低いのではないかと考え,これを一つの仮説として検討する。現在問題視されるフリーターの労働観や生活状況などからも考えることができるように,失業状況における問題意識の低さや「この仕事をしたい」,「こうなりたい」などの明確な目標や意欲の欠如などが,その場しのぎの生活を助長し,職に対する意識を低下させている原因であると考えたからである。 もっとも,本調査は実際に「潜在的失業」状況にある者を対象として行った調査ではない。しかしながら,将来の労働力人口である若年者の就労意識や行動を予想するという点で,以下の分析から一定の示唆が得られると考える。