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116 高知論叢 第92号きる能力の重要性を示している。目標は現時点で持っていないだけであって,今後持つことのできるものである。それ以上に資格など,特に具体的な仕事内容や職能を意識し,実践的な能力を高めるこ....

116 高知論叢 第92号きる能力の重要性を示している。目標は現時点で持っていないだけであって,今後持つことのできるものである。それ以上に資格など,特に具体的な仕事内容や職能を意識し,実践的な能力を高めることが重要であるといえる。 さらに,「潜在的失業」に陥らないようにするためには,求人数や種類などの雇用の場の確保だけでなく,少しつまずいても立ち直ることができるよう支援するようなセーフティネットを設置し,雇用の質の充実と安定を図ることが重要である。また同時に,社会や国全体で雇用状況をめぐる問題に目を向け,労働のあり方を再検討することが必要だろう。  おわりに 以上,「潜在的失業」状況に関心をもち,分析・検討してきたが,本調査は実際の「潜在的失業」状況にある者を調査対象としていないため,「実態」調査ではなく,いわば「意識」調査あるいは「行動予想」調査ともいうべきものである。とはいえ, 3の部分で明らかになったように,求職・転職意欲があり,具体的な活動を行うとしながら,その一方でアルバイトや不安定な非正規雇用を続けると回答した者が圧倒的に多かったことは特筆すべきだろう。全くの無業の状態で求職・転職活動をすることは様々なリスクを伴うことから,多くの人はその状態を避けようすることは想像に難くない。より実態に即した失業者・失業率を把握するためにも,これまでの失業者の定義を見直しあるいは修正することが必要であろう。例えば,求職活動の有無に関する条件を緩和するとともに,労働力調査の調査期間を2~4週間とするなど,新しい条件のもとで「修正」失業率を算定し併記することも可能ではないだろうか。さらに今後は,本調査の分析・検討結果をふまえ,より具体的な「潜在的失業」状況を想定し,実態調査を行うことが重要な課題であると考える。 最後に,現在大変問題視されている,日雇い派遣やワーキングプアなどの劣悪な労働条件で働く不安定・低所得労働者や,ネットカフェ難民やホームレスの問題などに体現される様々な雇用問題や社会問題に対して,私たち一人ひとりが問題意識をしっかり持って,これらの問題に関わっていく事が重要だと思