092号

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32 高知論叢 第92号係こそ資本の本質的機能である剰余価値を規定する根本要因だということに帰着するが,これをいいかえれば,生産条件の排他的所有が労働力による剰余価値の創造を規定することになるからである。....

32 高知論叢 第92号係こそ資本の本質的機能である剰余価値を規定する根本要因だということに帰着するが,これをいいかえれば,生産条件の排他的所有が労働力による剰余価値の創造を規定することになるからである。もし,生産条件の排他的所有は,それ自身生産関係をなし,労働力による剰余価値の創出を規定する特殊歴史的な原因だとすれば,資本とは生産関係だという命題にこめたマルクスの含意つまり生産条件の排他的所有が剰余価値の直接的な規定要因だというその核心にせまることになる。ひるがえって,生産条件の排他的所有は,それ自身生産関係として剰余価値を直接規定する因果が説明できれば,蓄積財源をうみだす労働力の特殊な属性に剰余価値がうまれる根拠をもとめる見地の転倒性が指摘できることになる。けだし,資本が生産関係だという命題をふまえれば,生産条件の排他的な所有は,剰余価値成立の二契機である労働力の使用価値と価値とをともに特殊歴史的に規定し,労働力による剰余価値の創造は,生産条件の排他的な所有の直線的な結果だということになるからである。労働力商品の生産的消費は,生産条件の排他的所有のタテの反面だというその特有な社会的条件が見落とされる結果, 労働力そのものが剰余価値を創出する内在的な属性をもって表面的にあらわれるにすぎない。そうじて,資本とは生産関係だという命題は,生産条件の排他的所有がそれ自身なぜ生産関係なのか,そしてその排他的所有はいかにして剰余価値生産を規定するのかという二つの論点をふくむ『資本論』 の根本問題であるのにはんして, これまで, その命題に内包された本質的なポイントがつかまれていない。資本とは生産関係だという命題は,剰余価値の秘密にかかわり,『資本論』の座標軸を構成する。 それゆえ,本稿の課題は,生産条件の排他的所有が,それ自身生産関係であることをしめしたうえで,剰余価値をうむ労働力の特殊な属性を規定する因果をとき,もって資本とは生産関係だという根本命題の内面に光をあてることにある。  1 貨幣と社会関係 マルクスによれば,ごく少数の人々による生産条件の排他的所有そのものが特有な生産関係である。そこで,排他的所有になる生産条件がひとつの生産関