092号

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34 高知論叢 第92号は, 個別的な4 4 4 4 等価物の一般的な4 4 4 4 等価物への発展につれて固まってくる。」(『資本論第1巻初版』国民文庫,岡崎次郎訳,33[原]ページ,圏点―マルクス) 貨幣がたんに一つの物質....

34 高知論叢 第92号は, 個別的な4 4 4 4 等価物の一般的な4 4 4 4 等価物への発展につれて固まってくる。」(『資本論第1巻初版』国民文庫,岡崎次郎訳,33[原]ページ,圏点―マルクス) 貨幣がたんに一つの物質的な存在でありながら社会的な関係をあらわすのは,金がしめる等価形態という一極が,相対的価値形態という対極の存在を暗黙のうちに前提するためである。金が位置をしめる等価形態は,それが相対的価値形態と不可分であるため,貨幣は,それ自身一つの事物でありながら社会関係の表現として存在する。だから,一つの対象は,それが一つの存在にすぎないという表面的な理由で,社会的な関係の表現であることを否定することはできない。一つの事物そのものが別の事物との特定の関係をあらわす根拠は,磁石の両極のように,その一契機がしめす別の対極的な一契機との不可分な相関性にある。貨幣は,一般的等価物という一つの対象にすぎないが,相対的価値形態と等価形態との相即不離の関連性のため,それ自身,社会的な関係をあらわす。一つの存在が特有な関係の表現である事実の判定は,そこにひそむ契機が別個に存在する対極的な契機とのあいだにもつ不可分な結びつきにある③。 以上,本節で,商品交換の産物としてうまれる貨幣は,金以外のすべての商品の価値鏡の役割をはたすため,それ自身一つの事物でありながら社会的な関係を表現するいわれをひきだした④。① 「神秘化的な性格は,社会的な諸関係すなわち生産にさいして富の素材的諸要素がそれの担い手として役立つところの社会的な諸関係を,これらの物そのものの諸属性に転化させ( 商品), またもっとはっきり生産関係そのものを一つの物に転化させる( 貨幣)。」( Kapital , Ⅲ ,S . 8 35)② 「すべての他の商品が価値の現象形態としてのリンネルに関係するので,リンネルの現物形態が,すべての商品とのそれの直接的交換可能性の形態4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 となり,したがってまた直接に4 4 4 それの一般的社会的な形態4 4 4 4 4 4 4 4 4 となるのである。」(『資本論第1巻初版』国民文庫,30[原]ページ,圏点―マルクス)③ 二つのものの不可分な相関といっても,光と影のように自然的な関係もあれば,富と貧困のように社会的な関係もある。社会的な関係の特色は,それが生産物の所有関係にもとづくところにある。④ 貨幣をその転化形態としてうみだす商品それ自身も,一つの社会関係の表現である。石炭が溶鉱炉でつかわれる一方,ぎゃくに,その産物の鉄が炭鉱で労働手段として機能するつながりがしめすように,生産物は,潜在的にはおのおの社会的労働