092号

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38 高知論叢 第92号おなじである。 以上,本節で,排他的所有になる生産条件は,それからの排除と一体の関連にたつため,それ自身で一つの生産関係の表現⑧である根拠をといた。だから,生産条件が資本になるのは....

38 高知論叢 第92号おなじである。 以上,本節で,排他的所有になる生産条件は,それからの排除と一体の関連にたつため,それ自身で一つの生産関係の表現⑧である根拠をといた。だから,生産条件が資本になるのは,特有な生産関係をあらわすかぎりだ⑨というばあい,生産関係とはその排他的所有にひとしい。① 「リカードにとっては資本はただ『蓄積された労働』として『直接的労働』と区別されるにすぎない。」( Mehrwert, MEGA, Ⅱ/3・3, S . 1025)② マルクスはつぎのようにいっている。「労働が賃労働と一致するならば,いま労働条件が労働に対立してとる一定の社会的形態もまた労働条件の素材的定在と一致する。」( Kapital, Ⅲ, S . 833) おなじように,労働条件がその社会的形態と混同されれば,賃労働も労働そのものと同一視される。③ だから,「過去の労働を資本にする社会的生産関係のこの一定の形態」( MEGA,Ⅱ/3・1, S . 285) とは,中心的には生産条件の排他的所有をさす。④ ここで 「独占された生産手段」 とは, 「生産手段―それは生活手段をも含む―」(MEGA,Ⅱ , /3・6, S . 2238) とか「生産手段―労働手段および生活手段―」(Kapital,Ⅲ , S . 266) とかいわれるとおり,生活手段を内包している。また,別の箇所での,資本とは 「独立化された力として労働者に相対する物的労働条件」( Mehrwert,MEGA, Ⅱ/3・3, S . 1025) だという規定も, おなじ趣旨である。「物的労働条件」とは, 「客体的な労働条件4 4 4 4 4 4 4 4( 生産手段)…主体的な労働条件4 4 4 4 4 4 4 4( 生活手段)」( 『直接的生産過程の諸結果』国民文庫, 473[原]ページ,圏点―マルクス) というとおり,生産手段と生活手段の両方をふくむ。⑤ 資本が排他的所有になる生産条件だという規定にかんして,本源的蓄積についてのつぎの文言も参考になる。「資本の本源的蓄積4 4 4 4 4 4 4 4 。…労働者および労働そのものにたいする労働条件の独立化である。」( Mehrwert, MEGA, Ⅱ/3・4, S . 1450, 圏点―マルクス)⑥ 「一定の社会的生産関係である資本4 4」( 『直接的生産過程の諸結果』 国民文庫, 463[原] ページ, 圏点―マルクス)・「資本を資本とするところの社会的な生産関係」(MEGA,Ⅱ/3・5,S . 1604)・「一つの生産関係としての資本4 4 の概念」( MEGA, Ⅱ/3・1, S .141, 圏点―マルクス)。⑦ 主として『資本論』第Ⅰ巻第10章「相対的剰余価値の概念」に登場する形容句のない「生産様式( Produktionsweise)」( Kapital, Ⅰ, S . 333, S . 334, S . 337) は, 生産条件の排他的な所有を前提になりたつため,それ自身資本主義特有な生産関係を内蔵している。もし特定の規定のない生産様式をもって労働過程次元上でのたんなる生産方法とみなせば,資本を蓄積された労働に還元した古典派とおなじ落とし穴にはまることになる。