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40 高知論叢 第92号の条件のもとでのみ資本として機能するのとおなじように,労働力は,特定の条件のもとでのみ剰余価値をうみだす。だから,剰余価値がなにによって創造されるかをみきわめる問題の焦点は,労働力....

40 高知論叢 第92号の条件のもとでのみ資本として機能するのとおなじように,労働力は,特定の条件のもとでのみ剰余価値をうみだす。だから,剰余価値がなにによって創造されるかをみきわめる問題の焦点は,労働力が剰余価値をうむ社会的な条件のいかんにある。 それでは,労働力が剰余価値を形成するのは,いかなる社会的な条件によってであろうか。結論をさきまわりすれば,労働力による剰余価値の創出は,生産条件の排他的所有によって直接規定される。生産条件の排他的所有こそ,労働力による剰余価値の創造を直接にもたらす独立的な要因である。生産条件の排他的所有というおなじタテのはんめんに,労働力の商品化がなりたつため,排他的所有になる生産条件は,労働力商品の二要因を特殊歴史的に規定することによって,剰余価値を創造する。生産条件の排他的所有は,労働力の価値と使用価値とをともに特有な仕方で規定する。すなわち,まず,生産条件の排他的所有は,労働者の再生産にようする必要労働の分量をたんなる労働力の再生産のための分量にちいさく圧縮して,労働力の価値を規定する。独立生産者のように,生産条件を労働者自身が所有するばあい,必要労働分量は,蓄積財源の生産に支出される労働を包含する。一方,労働力の使用価値も,その価値と同様に,生産条件の排他的所有によって特殊歴史的に規定される。労働力は,生産条件の一成分である生活手段と交換され,資本家の処分権にゆだねられるため,必要労働をこえる1労働日全体にわたって労働支出を強制される①。労働力の合目的的な消費は,資本家によるその処分権の行使としてのみ実現され,その処分権の行使は,生活手段をふくむ生産条件の排他的所有に還元されるから,つまるところ,必要労働をこえる労働日の延長による剰余労働は,生産条件の排他的所有にもとづくことになる。 そこで, 労働力の価値と使用価値とがともに生産条件の排他的所有という一つの関係にはっする特殊歴史的な二つの相異なる契機だとすれば, 剰余価値は,労働力の使用価値をあらわす労働日と労働力の価値との差額だから,労働力を媒介にしてうまれる生産条件の排他的所有それ自身の所産だということに帰着する②。まさに,「資本主義的生産の対立的な性格にもとづいて行なわれる資本の価値増殖」( Kapital, Ⅲ, S . 457) とマルクスが規定するとおりである。だから,剰