092号

092号 page 43/132

電子ブックを開く

このページは 092号 の電子ブックに掲載されている43ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
生産関係と資本の価値増殖41余価値をうむのは労働力だという規定は,労働支出の源泉をのべたにすぎない。「剰余価値の唯一の源泉は生きている労働なのである」( Kapital, Ⅲ, S . 158) というのも,剰余価値の出所....

生産関係と資本の価値増殖41余価値をうむのは労働力だという規定は,労働支出の源泉をのべたにすぎない。「剰余価値の唯一の源泉は生きている労働なのである」( Kapital, Ⅲ, S . 158) というのも,剰余価値の出所をしめす規定にすぎない。労働力は,生産条件を排他的に所有する資本家の生産活動のもとでのみ剰余価値をうむから,結局,生産条件の排他的所有こそ,剰余価値創造の直接的な規定要因である③。生産条件の排他的所有が労働力による剰余価値創造を規定する因果は,太陽光線が月の表面に反射して月光に転化するその関係に類似する。マルクスによれば,等価形態にたつ商品の使用価値がもつ直接的な交換可能性の形態は,相対的価値形態にたつ商品による価値表現の結果― 「反射規定( Reflexionsbestimmung) 」(Kapital, Ⅰ ,S . 72)―だという④が,まさに,労働力による剰余価値の創出は,その商品化をもたらす生産条件の排他的所有の反射にすぎない。「賃労働とその使用との独自な規定性」( Mehrwert, MEGA, Ⅱ/3・3, S . 1124) は,「自分と交換される商品の価値を増大させ剰余価値をうみだすという規定性」(Ibid.)である一方,「賃労働としての労働と,資本としての労働条件とは,同じ関係の表現であ」( Ibid.,Ⅱ/3・4,S . 1491) るとすれば,剰余価値を創造する労働力の独自な属性は,生産条件の排他的所有の直接的な作用結果として成立するにすぎない。マルクスのいう「貨殖の秘密」(Kapital, Ⅰ , S . 189) とは,生産条件の排他的所有によってなりたつ生産関係そのものにある。 だから,生産条件の排他的所有が生産関係の表現だという事柄には,それが同時に剰余価値発生の直接的な規定要因だという内実がふくまれる。資本が剰余価値の母胎だということは,生産条件の排他的所有が,剰余価値という特殊歴史的な要素をうみだすことにひとしい。まさに,「資本の増殖能力」(MEGA,Ⅱ/3・5, S . 1604) は,「社会的な生産関係の結果」( Ibid.) である。推論するところ, マルクスのいう 「剰余価値の本性( die wahre Nat ur)」( Kapital,Ⅱ,S . 178)には,それが生産条件の排他的所有の独自な所産である要素がふくまれる⑤。 以上,本節で,生産条件の排他的所有が剰余価値の発生を特殊歴史的に規定する独特な社会関係を分析した。資本が生産関係だということは, 生産条件の排他的所有がその独自な産物として剰余価値をもたらすこととイコールである。資本が生産関係だという根本命題は,生産条件の排他的所有こそ剰余価値発生