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生産関係と資本の価値増殖45(Kapital, Ⅰ, S . 229) 剰余価値発生の根拠を労働力が蓄積財源をうみだす事情にみいだす見解には,おおきく2つの問題点がある。 まず第1に,蓄積財源をつくる労働力の特殊性を根拠....

生産関係と資本の価値増殖45(Kapital, Ⅰ, S . 229) 剰余価値発生の根拠を労働力が蓄積財源をうみだす事情にみいだす見解には,おおきく2つの問題点がある。 まず第1に,蓄積財源をつくる労働力の特殊性を根拠として剰余価値がうまれるという見地の根本欠陥は,剰余価値発生の秘密が生産関係に内在しないところにある。換言すれば,蓄積財源をうむ労働力の属性に剰余価値の発生根拠をもとめる見地にあっては,剰余価値が資本そのものによって創造されるという基本認識に希薄さがある。蓄積財源をうみだす労働力の属性によって剰余価値がうまれるという立場は,資本が剰余価値のたんなる取得の主体だという見方にひとしい②。「資本の自己増殖すなわち剰余価値の生産」(Kapital, Ⅲ, S . 97)とか「自分を増殖する価値4 4 4 4 4 4 4 4 4 すなわち資本4 4 」(『直接的生産過程の諸結果』465[原]ページ,圏点―マルクス)とかいうとおり,剰余価値は,資本から内在的にうまれるその独自な創造物にほかならない。だから,資本は,剰余価値取得の主体である以前に, 本質的に剰余価値をうみだす創造の主体として機能する③。剰余価値の形成こそ,資本の根源的な機能をなし,その取得は,資本からの剰余価値の生成と背中あわせのたんなる結果にすぎない。資本が生産関係だという命題は,剰余価値が生産関係を根拠にしてうまれるという命題に帰着するから,労働力そのものの特殊性が貨殖の最終の根拠だという主張は,根本的には資本が生産関係だという命題のとりちがえに帰着する。剰余価値が労働力の属性に規定された産物だという立場は,資本が剰余価値を規定する因果関係を中核になりたつ資本と賃労働との同一性を解消する。資本と賃労働とは,生産条件の排他的所有という同一の関係の両面にすぎない。 第2に,労働力が労働支出の源泉となって剰余価値がうまれるというばあい,労働力と生産条件との分離という特殊歴史的な条件の見落としがある。つまり,そこには,生産条件の排他的所有にともなう労働力の社会的な被規定性の看過,いいかえれば,労働力の価値と使用価値との二つの要因にたいして生産条件の排他的所有がおよぼす社会的な作用の閑却がある。生産条件の排他的所有すなわち生産条件からの労働力の疎外が扇のかなめになって,労働力の再生産にようするだけの制限された分量への必要労働分量の収縮と,その1日の使用権の資本家による取得に起因する必要労働をこえる労働日の延長とがともに実現す