092号

092号 page 53/132

電子ブックを開く

このページは 092号 の電子ブックに掲載されている53ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
経営学分野における本社の定義及び関連諸事項に関する一考察51く,本社部門すなわち部分組織(の一種)として取り扱うべきであること,すなわち本社の「類概念」は事業所ではなく部分組織とすべきことを明らかにしてい....

経営学分野における本社の定義及び関連諸事項に関する一考察51く,本社部門すなわち部分組織(の一種)として取り扱うべきであること,すなわち本社の「類概念」は事業所ではなく部分組織とすべきことを明らかにしている。従って本稿では,本社を他の部分組織(例:事業部門) と区別する,本質的属性としての本社の「種差」を明らかにする必要があるのだが,これは本社をどのように捉えるべきかということと密接な関係にある。そこで以下ではまず,経営学分野における本社の捉え方について,吟味を行う。 第二節 経営学分野における本社の捉え方 小野( 1994) 7, そして樋口(1995) 8は, われわれが「本社」という言葉を使うときには,①場所・建物(例:本社に行く),②権威・権能(例:現場の我々にとっては不本意だが本社からの指示には従わざるを得ない),③機能・職能9( 例:今回導入した年俸制の詳細は直接本社に問い合わせてくれ), という, 本社の持つ三種類の諸属性に基づく意味合いあるいは諸概念のうちのいずれかを,時と場合に応じて使い分けてきたと述べている10(第1表及び第2表)。 それでは,これらのうち,本社の最も本質的な属性はどれかということになると,筆者の見解では,やはり機能であるといえる。なぜなら,本社の立地場所や建物の仕様,本社に付与される権威・権能の範囲11や内容は,本社が担う諸機能を効果的・効率的に果たせることを主目的として決められるべきだから 第 1 表 これまで慣習的に発達してきた「本社」の捉え方(小野( 1994))場    所その企業のトップ( 最高責任者) の所在地, そのビルまたは事務所を指す。この立場からは 「本社営業」 「本社製造」 「本社倉庫」ということばが成り立つ。組織上の権威的機構組織名称に 「本社」 のヘッドをつけることによって, 組織, 部門の社内外的な権威を高めようとする。この立場からすれば,商品開発, 販売促進程度の企画機能の部門に,「本社企画室」 の名称を与えることによって,権威アップすらできることになる。組織上の機能経営政策の段階を戦略,戦術,戦闘と分け,経営管理の段階を全般管理,部分管理,チーム管理,ならびに補助・サービスと区分して上位段階の機能を「本社」と考える。出所:小野( 1994)pp. 81-82の内容をもとに作成。