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経営学分野における本社の定義及び関連諸事項に関する一考察53  第三節 小  括 以上より,本社を,何らかの( 諸) 機能を担当する部分組織(機関・部署または役員・従業員等) の集合体( または総称) とし....

経営学分野における本社の定義及び関連諸事項に関する一考察53  第三節 小  括 以上より,本社を,何らかの( 諸) 機能を担当する部分組織(機関・部署または役員・従業員等) の集合体( または総称) として捉えることにより,経済地理学分野でも,次章で吟味する本社機能分類のような経営学分野の諸成果を取り入れつつ,本社の立地メカニズムの詳細を理論的・実証的に分析することができる。そして,まだ議論の途中ではあるが,とりあえずこの段階において,類概念を部分組織,種差を機能として本社を定義するならば,以下のようになる。 すなわち,本社とは,「( ある一つの) 企業の経営組織のうち,当該企業の目的( =自身の存続・発展) を達成するために必要な,ある特定の( 諸) 機能を担当する部分組織( 機関・部署または役員・従業員等) の総称」である17。 しかしながら,この表現のままでは,工場や営業所なども同様の定義になってしまう。よって,次の課題は,企業が内包する諸部分組織( 類概念) のうち,本社のみが担当する, 「企業の目的を達成するために必要な,ある特定の( 諸)機能」( 種差) とは何か?ということになるのであるが,これについては,次章以降において,経営学分野における本社機能分類の諸実例の吟味などを通じて,検討を行う18。1 田中康一( 2007) 「経済地理学分野における本社の定義」『 高知論叢』第89号,pp.41-71。2 新村出編( 1986)『 広辞苑( 第五版)』岩波書店。3 内包:内容(『広辞苑(第五版)』)。4 本質:あるものをそのものとして成り立たせているそれ独自の性質(『広辞苑(第五版)』)。5 種差:同位概念( 同一の類概念に属する2個以上の種概念) のうち,その或る種に特有な性質で,それを他の種から区別する標準となる徴表( 『広辞苑( 第五版)』)。6 類概念・種概念:ある概念の外延( 適用範囲) が他の概念の外延よりも大きく,それを自己のうちに包括する場合に,前者を後者の類概念,後者を前者の種概念という(『広辞苑(第五版)』)。7 小野洋祐(1994)『超本社』 ダイヤモンド社。