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54 高知論叢 第92号8 樋口正夫(1995)『 本社を変えろ』日本能率協会マネジメントセンター。9 「機能」も「職能」も,ともに英語のfunction を邦訳したものである。ただし,経営学分野では,「職能」という用語には仕....

54 高知論叢 第92号8 樋口正夫(1995)『 本社を変えろ』日本能率協会マネジメントセンター。9 「機能」も「職能」も,ともに英語のfunction を邦訳したものである。ただし,経営学分野では,「職能」という用語には仕事の意味合いが色濃く含まれており,取り扱いには注意が必要である。そこで以下では,文脈上やむを得ないなど特別の場合を除き,「職能」 を「機能」の一種とみなし,「機能」として読み替えることにする。10 本社の捉え方については他に高橋( 2003) による議論( 高橋浩夫( 2003) 「本社機能とコーポレート・ガバナンス」『白鴎ビジネスレビュー』Vol 12,No. 1,pp. 149-155) もあるが,高橋による物理的要件,機能的要件,戦略的要件という本社の捉え方に関する分類のうち,戦略的要件には機能・権限・権威・地位等の諸概念が混在しており,特に機能的要件と重複する部分が少なくないため,これら三種類の捉え方を明確に整理・区分し難く,またそれらの捉え方と本社の定義との関連付けもなされていないため,本文中には取り上げなかった。11 権能の範囲=権限(『広辞苑(第五版)』)。12 私的利益追求は当該目的達成のための諸手段の一つ。13 職能( または機能) と権限との関係については, 小暮至( 2004)『 現代経営の管理と組織』同文館出版,pp. 87-116に詳しい。特に,小暮は,同 pp. 95-102において,権限の源泉に関する諸説を吟味しているが,権限の源泉を職能( 機能) とする「職能説」について,「事実に依拠した理論として一定の現実的根拠をもってくると指摘されている」と説明した上で,このことは,「権限は職能,職務から派生し,責任を相伴なうものであり,職能の遂行に必要な特殊な知識を持つ人によってこそその責任,権限は担われる」というフォレット( Follett, M. P.( 1949) Freedom & Coordination: Lectures inBusiness Organization, edited and with an introduction by Lionel Urwick, London :Management Publications Trust.) の議論によって証明され得るとしている( 木暮,前掲書,pp. 98-99)。こうした議論により,機能と権限との関係において,より本源的,本質的なのは機能である,ということができる。14 『広辞苑( 第五版)』によれば,機能とは,「(function)物のはたらき。相互に連関し合って全体を構成している各因子が有する固有な役割。また,その役割を果すこと。作用。」である。15 「…等」としたのは,例えばコンピュータのような機械なども,場合によっては分析対象となり得ると,筆者が考えたためである。16 『有斐閣経済辞典( 金森久雄・荒憲治郎・森口親司編( 1998)『有斐閣経済辞典( 第3版)』有斐閣)の「経営機能」の項では,「機能はつねに機関と二面的に理解されるべきものである」と説明されている。また,欧米の経営組織関連の諸文献においても,functionという言葉が単に「機能」( あるいは「職能」) という意味だけでなく,「機能部門」( あるいは「職能部門」) の意味でも用いられている例が散見される。17 ただし,例えば,職能別組織の企業の本社と事業部制組織の企業の本社とでは,担当する( 諸) 機能の内容が異なるであろう。また,一企業の本社と企業グループ本社