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62 高知論叢 第92号 平成19年12月に開催された全国グリーン・ツーリズムネットワーク東京大会9でも,泊まる,滞在型市民農園,食育,食の安全,学びのネットワーク,農村体験,癒し,農村環境・村づくり,農村ビジ....

62 高知論叢 第92号 平成19年12月に開催された全国グリーン・ツーリズムネットワーク東京大会9でも,泊まる,滞在型市民農園,食育,食の安全,学びのネットワーク,農村体験,癒し,農村環境・村づくり,農村ビジネス,制度・推進,生活スタイル,農ある都市のくらし,という12のキーワードごとに非常に多岐にわたる議論が展開された。このことを見ても,グリーン・ツーリズムが抱える可能性と課題がいかに広範にわたっているかが分かる。 3.高知県におけるグリーン・ツーリズムの現状 グリーン・ツーリズムは「地域のくらし」をもって「地域のくらしと産業」の活路を開くものであり,基本的には地域(市町村)ぐるみの取り組みが欠かせない10。全国的な成功事例(長野県飯田市,大分県宇佐市安心院など)は,いずれも市町村をあげての振興策として,農林業を主体とする地域経済基盤に立脚した取り組みを展開していることは広く知られている。 その一方で,高知県のように,戦略的にグリーン・ツーリズムを推進しようとする市町村の取り組みが弱く, 農林漁家民宿をはじめとする個人の努力に負っている地域もある。仮に飯田市を地域経営型グリーン・ツーリズム11とすれば,高知県はかなり小粒の個別経営体型グリーン・ツーリズム12と言えよう。9 特定非営利活動法人グリーンツーリズム・ネットワークセンタHP を参照のこと。http://www.green-tourism.net/zenkokutaikaitoukyou.html10 井上和衛( 2001) p. 16では,「グリーン・ツーリズムに即した地域づくりが必要であり,そうした地域づくりには当然,行政,関係団体,地域住民が一体となった地域ぐるみの取り組みが必要となる。」とある。11 地域経営型グリーン・ツーリズムについて,井上和衛( 2001)p. 21は 「地域経営型グリーン・ツーリズムとは,(中略)グリーン・ツーリズムにふさわしい地域づくりを計画的,かつ組織的にすすめる取り組みである」と述べられており,本稿における「地域経営型」はこの概念に近い。 なお,宮崎猛編著( 2002) では,「地域経営型都市農村交流産業とは地域経営体を担い手として行われる都市農村交流産業である。」とし「地域経営体とは,地域の技術・労力・賃金・原材料等の生産資源を活かした経済事業により地域社会を維持することを目的とし,地域の農林水産業者,商工業者,関係団体より組織される経営体」と定義している。12 井上和衛( 2001)p. 22では,グリーン・ツーリズム推進体制を類型的に「行政主導型」と「住民主体型」に分類している。本稿での「個別経営型」は地域内のグリーン・ツーリズムの取り組みが主として「住民主体型」の「個人として営業するアグリビジネス」によって推進されているものを指す。