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持続可能な都市農村交流拠点( 農林漁家民宿) のために63 高知県では,このような県内の実情をふまえ,平成17年に「こうち体験ツーリズム推進プログラム」を作成し,「グリーン・ツーリズムビジネスの定着」「まと....

持続可能な都市農村交流拠点( 農林漁家民宿) のために63 高知県では,このような県内の実情をふまえ,平成17年に「こうち体験ツーリズム推進プログラム」を作成し,「グリーン・ツーリズムビジネスの定着」「まとまった人数の受入体制の整備」「コーディネート組織の育成」を柱に,( 1)郷土への愛情,都市との交流に強い意欲( 2)リスクや自己負担を乗り越えて開業するだけの意志( 3)地縁,人脈があることから,地域エリアに広がるコーディネート力を持つ農家民宿等をグリーン・ツーリズムの拠点と位置づけ,アクセス面等でハンディキャップを持つ高知県において地域内の拠点が10年,20年と継続あるいは引き継がれていくことを目指し,開業促進から経営安定へむけての研修,実践者の組織化,誘客のための情報発信等の支援を実施してきた。個別経営型では,地域経営型の先進事例と異なり,実践者は個人個人として法規制や市場に対峙することになる。そこで平成18年度からは特に全国的な農家民宿等開業の増加と競争の激化が予想される中,「民宿の品質向上・維持」と「原価の認識」についての対応を急いだ。 研修で行った農家民宿等の「原価計算」の分析結果からは,各経営での課題や損益分岐点も明らかになりつつあり,原価をふまえた宿泊料の見直しや自家農産物の活用などの検討が行われるようになっている。 こうして個々の経営体が成長しつつある一方,地域(市町村)の動きは依然として充分とはいえない。県域の推進策では広がりがありすぎて顧客ロイヤリティ13を獲得していくには限界があり,地域ぐるみの推進ができるかどうかは大きな課題のまま残っている。さらに,この1年ほどの間ににわかに加速されてきたグリーン・ツーリズムへの社会的な関心の高まりは,「地域内の連携づくり」に取り組み始めたばかりの地域に対しても,「誘客と商品造成(観光需要との折り合い)」という待った無しの課題を加えようとしている。 つまり,「小さな個別経営体型」である高知県のグリーン・ツーリズムも,「求められる品質」や「誘客と商品造成」等の全国的な課題から免れるものではなく,13 竹本田持( 2007)p. 5では,「地域内発型アグリビジネスは,次々と顧客を開拓・獲得し,成長・発展によって生み出されるメリットを活かす事業経営とは異なる特性を持つ。(中略)顧客ロイヤリティ( 忠誠心) を構築し,リピーターを確保するために有効な戦略である。」としている。