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64 高知論叢 第92号しかも個別経営体型は(地域経営型と比較して)グリーン・ツーリズムに取り組む実践者個々の継続性の課題がより目に見えやすくまた切実である。 そこで本稿では,高知県における「 農家民宿等」....

64 高知論叢 第92号しかも個別経営体型は(地域経営型と比較して)グリーン・ツーリズムに取り組む実践者個々の継続性の課題がより目に見えやすくまた切実である。 そこで本稿では,高知県における「 農家民宿等」 推進の取り組みを多面的に総括しながら,他県の事例の知見も加え持続可能なグリーン・ツーリズムを実現するにあたって不可欠でありながらも,見逃されがちである「 経済性」 について下記の構成で述べることとしたい。 まず第2章では,グリーン・ツーリズムのさまざまな課題の根底にあると思われる「社会的活動」「経済活動」という2つの面を確認したのち,農家民宿14を事例に「経済活動」における課題に触れる。次に第3章では,グリーン・ツーリズムの「経済活動」を地域への経済効果というマクロの視点からとらえるとともに,地域全体の経済効果を支える個々の取り組み(本稿では農家民宿)の経済性を担保するためのツールとして「原価計算シート」を提案する。そして最後の第4章では,農山漁村が「都市の消費対象」となって資源疲労をおこさないために,推進策に必要な視点として,「都市農村交流へのロイヤリティの高い都市住民との協働」と「持続性への配慮」について述べる。  第2章 グリーン・ツーリズムの課題 1.グリーン・ツーリズムの持つ2面性  「グリーン・ツーリズム」あるいは「都市と農山漁村の交流」について,「地域の活性化のツールはもうこれしか残っていない」という声を聞く。仮に「ベストであるかどうかはともかく…」という但し書きがつくものであっても,どこか明るい雰囲気を感じさせるツールであることは間違いない。 しかし一方で,グリーン・ツーリズムは,推進する立場の人からさえ,よく「分かりにくい」と言われる。それはグリーン・ツーリズムの特徴である「2つの面を持つこと」 15 か ら来るものと思われる。2つの面とは,「社会的活動」と「経済活動」14 農家民宿とは,農村休暇法に定義される農林漁業体験民宿には定年後の経済的基盤に支えられた地域活動としての民宿開業や,自然体験型の宿泊施設等様々な形態が含まれる。本稿の「農家民宿」は農家が農業の傍ら副業的に営む民宿とする。15 竹本田持( 2007) p. 32において,「地域内発型アグリビジネスとは,地域振興ないしは地