092号

092号 page 69/132

電子ブックを開く

このページは 092号 の電子ブックに掲載されている69ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
持続可能な都市農村交流拠点( 農林漁家民宿) のために67 さらに農家民宿についての課題を抽出すると下記のようになる。①民宿の品質の維持・向上(内なる矛盾,コンプライアンス)②グリーン・ツーリズムの認知向....

持続可能な都市農村交流拠点( 農林漁家民宿) のために67 さらに農家民宿についての課題を抽出すると下記のようになる。①民宿の品質の維持・向上(内なる矛盾,コンプライアンス)②グリーン・ツーリズムの認知向上(市場の成熟)③継続性 ここから見えてくるのは,「グリーン・ツーリズムが国民運動になり新たな余暇活動として認知される」以前に,「商品としての品質が厳しく問われるようになってしまった」という「たいへんな事態」なのである。 ではそれぞれの課題を具体的に見てみよう。①品質の維持・向上  「農家民宿」は「宿泊業」であることには間違いないが,農林業の補完,地域の活性化という成り立ち上,農山村でのくらし,地域の産業(農林業等)抜きには考えられない。つまり「宿泊以外の目的(人的交流)を合わせ持った宿泊業」という少し変わった「新しい業態」19といえる。 しかし,いかに社会的活動としての意味あいが色濃いものであっても「業」である限り,外からは求められるサービスの水準があり20,守らねばならない法令等がある。[内なる矛盾] 「宿泊業はお客で来てお客で帰るが,グリーン・ツーリズムはお客で来て仲間になって帰る」のがグリーン・ツーリズムのあり方であるとすれば,どこまで素顔でいたほうがいいのか,どこまでプロでないといけないのかという,商品としては矛盾を孕んだものとならざるを得ない(図6)。 この点については, すでに多くの見解があり,「 農家民宿という業態に適した法19 本稿で述べた二面性の他にも「農林漁業」に対する伝統的な産業観に固執した見方からすれば,農家民宿は「サービス業」という異なる産業に踏み込んだと受け止められる。持田紀治編( 2002) p. 25で大江靖雄氏が指摘しているように,「グリーン・ツーリズム活動が先駆的であることから,地域内でしばしば孤立しがちであり,地域住民に理解されないことが少なくない」。農業施策においてすら,「農家民宿=農業の一部門」と見なされていないケースがある。ちなみに農業生産法人の要件である「主たる事業」の定義では,「農家民宿」は「農業に関連する事業( =農業)( 農地法施行規則第一条の二)」とされている。20 財)都市農山漁村交流活性化機構( 2006c) における,竹本田持「Ⅰわが国における農家民宿の品質管理をめぐる課題」に詳しい。