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持続可能な都市農村交流拠点( 農林漁家民宿) のために83「原価」として認識していただければと願う。 当然のことながら「体感労働」は絶対値ではない。農家民宿ごとに異なるのはもちろん,事業創始者世代と次代,....

持続可能な都市農村交流拠点( 農林漁家民宿) のために83「原価」として認識していただければと願う。 当然のことながら「体感労働」は絶対値ではない。農家民宿ごとに異なるのはもちろん,事業創始者世代と次代,あるいは当初からのスタッフと新規スタッフとでは受け止め方が異なる「相対的な時間感覚」である。女性起業の講演会などでは,事業継承やスタッフの更新時の「志」の共有の難しさがよく話題に上るが,現場では,この「体感労働時間」についての認識の違いをかい間見ることがある。(4)水道光熱費,減価償却 等 (家庭生活と共有部分との取扱い) グリーン・ツーリズムでは,田舎の「ケ」が来訪者にとっての「ハレ」になると言われる。体験型観光で見られるような「提供するためだけに作り上げた体験プログラム」ならば,それに限定した経費を計上することですむが,農林漁家民宿では多くの場合,日常の生活と宿泊業で空間的,経費的にも共有される部分があり,なんらかの割合で按分する必要が出てくる。割合については,原価を把握する場合においては床面積,収入等,自らが納得するやり方を採用して差し支えない。しかし,税務においては税法に基づく適正な処理をしなければならない。(5)利 潤  「利潤」についても,労務費と同様,実践者の方々には「お金を蓄えてはいない,人を蓄えている」「心の分限者になりたい」という思いが強い。 シートの「もうけ」の箇所は,例えばグリーン・ツーリズム継続と再生産のために活用される都市農山漁村共有のファンドと解釈するとか,「赤字であっても,グリーン・ツーリズムに連動した農産物や農産加工品の売り上げ増と相する(この場合の売り上げを民宿の「その他の収入」の項に入れるかどうかは議論が必要であろう)」,「地域へのトータルの経済効果をもって良しとし,赤字にさえならなければ可」というように,多様な受け止め方ができる。 このようにして「もうけ」への抵抗感をなくしつつ,継続に必要な経済性を確保し,農家民宿に取り組む最終目的( 都市との交流による充足感) の実現に近づくことが本シート提案の主旨である。