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持続可能な都市農村交流拠点( 農林漁家民宿) のために87 前述したグリーン・ツーリズムの認知の課題にしても,農山漁村の感動領域を感知するセンサーと都市住民ならでは生活感を併せ持つ「グリーンライフコンシュ....

持続可能な都市農村交流拠点( 農林漁家民宿) のために87 前述したグリーン・ツーリズムの認知の課題にしても,農山漁村の感動領域を感知するセンサーと都市住民ならでは生活感を併せ持つ「グリーンライフコンシューマー」が発信役になれば,都市の人々に対してブレの少ない伝え方ができるのではないだろうか。都市部の商店街で始まっている,エンドユーザーと農山漁村の直接の交流44の動きに等にも同様の可能性を感じ,今後への期待がふくらむ。 また,昨今少々気になるのが,「ごちそうづくしの安価な宿」という,グルメ番組的なサービス面の評価だけを強調した農林漁家民宿の取り上げられ方,売り込み方である。評価は嬉しくても共有すべき思い45 が欠けたまま一方的なホスピタリティを求められるのは寂しいし経済的にも負担が大きい。こうした農山漁村側と都市側のボタンの掛け違いをやんわりと訂正してくれる力を持つのもやはり心あるグリーンライフコンシューマーだろう。 2.持続性への配慮( グリーン・ツーリズム支援にあたって) 日本のグリーン・ツーリズムの多くが行政主導型といわれる46。それにしても昨今の雪崩をうったような推進の勢いはどうだろう。 農山漁村地域の活性化の方法が「これ(グリーン・ツーリズム)しかなくなっている」のは事実であるとしても,「グリーン・ツーリズムに取り組んでみませんか」(あるいは「農山漁村体験観光に取り組んでみませんか」)という行政からの呼びかけが,どの程度まで見通しを持ってのことなのか不安に思わずにはいられない。 経済性が求められるのは民宿のようなビジネスだけではない。本来は単発の誘客ツールであるはずの「イベント」も継続的に実施していくとなれば赤字で44 板橋区大山商店街の中に板橋区と交流のある市町村のアンテナショップ「とれたて村」を開設。特産品販売だけでなく板橋区民と交流都市の市民が行き交う相互交流の仲立ちを行っている。45 大江正章( 2008) を参照のこと。「食事のインパクトが最大のようです。自分でもいだトマトの味が忘れられないからまた来るとかね」( 農家民宿「いちょうの樹」上田知子氏)」。同様のエピソードはグリーン・ツーリズムの実践の中で枚挙にいとまがない。名物料理の食べ歩きとは全く違う次元の「食の喜び」があることがうかがえる。46 青木辰司( 2004) pp. 146-147を参照のこと。