093号

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英国のワーク・ライフ・バランスとフレキシブル・ワーキング105 3)TUC がフレキシブル・ワークを推進する理由について 次に,TUC がフレキシブル・ワークを推進する理由を考えるにあたり, 以下の3 つの視点をあ....

英国のワーク・ライフ・バランスとフレキシブル・ワーキング105 3)TUC がフレキシブル・ワークを推進する理由について 次に,TUC がフレキシブル・ワークを推進する理由を考えるにあたり, 以下の3 つの視点をあげる。第一に国内問題への対応という視点,第二にEU 全体の視点,とくにETUC(European Trade Union Confederation  欧州労働組合連合)の労使のパートナーシップ路線とEU 指令があげられ,そして,第三にCBI の考え方と対応という視点である。 まず,国内問題への対応として,フレキシビリティが長時間労働の歯止めになることとフレキシブル・ワークの申請により労働時間調整の主導権の一部を労働者個人に移行できることがある。つまり,労働側の目的はより自由な働き方にある。その意味で使用されるキーワードとして「ポジティブ・フレキシビリティ」という考え方があるが,このことについてTUC は「ポジティブ・フレキシビリティとは,働く人々がより多くの裁量と選択の権利をもち,使用者は能力開発と訓練に投資し,労働者とのパートナーシップが機能する状態である…(中略,筆者)…経営者が,意見やニーズを言う機会のない労働者に,労働組織のかたちを一方的に押し付けるものとは異なる」21と述べている。 また,ETUC が「労働時間指令の基本原則は,単に上限時間の設定についてのみを争うのではなく,実際に労働時間をどのように計画し編成するかについても争点にするものである」22と述べるように,この方針も英国のTUC の取り組みの背景にあると考える。 さらに,EU の労使関係の方向性が, 企業の生産性に協力しながら発言権を高めていくパートナーシップ路線であることから, 英国の労働組合もパートナーシップの構築に舵を切り,職場のフレキシブルな組織の形成に協力することで,情報共有と雇用の安定を獲得する方向に変化したことと深く関係する。 つまり,1997年の欧州委員会グリーンペーパー『新たな労働組織のためのパートナーシップ』において,職場のフレキシブルな組織と雇用安定を目的に職場21 TUC, Changing Times(2001)p. 422 TUC, Challenging Times: Innovative ways of organizing working time: the role oftrade unions, 2006, p. 5.