093号

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英国のワーク・ライフ・バランスとフレキシブル・ワーキング107そして使用者側には,フレキシブル・ワークの組織化とマネジメントの課題がうかがえる。それにもかかわらずフレキシビリティの流れの根底には,コーポ....

英国のワーク・ライフ・バランスとフレキシブル・ワーキング107そして使用者側には,フレキシブル・ワークの組織化とマネジメントの課題がうかがえる。それにもかかわらずフレキシビリティの流れの根底には,コーポラティズムの考え方に基づいた,パートナーシップによるフレキシブルな職場の実現というEU の潮流があるのである。  Ⅴ おわりに これまでみてきたように, 英国でのワーク・ライフ・バランスでは, フレキシビリティがひとつのキーワードである。とりわけ,The Flexible WorkingRegulations 2002の成立と施行後の現在,政府・TUC・CBI のいずれもがこの法律で規定されたフレキシブル・ワークに注目している。 したがって,現在,ワーク・ライフ・バランスのなかのフレキシビリティの議論の中心になっているのは,職場におけるフレキシブル・ワーク,つまり特定の理由のもとで就業時間・期間,あるいはホーム・ワーキングなど多様な働き方の選択を可能とする制度の導入と取得状況といえる。 TUC は,こうしたフレキシブル・ワークが労働者による労働時間調整の拡大につながることと,その労働時間短縮手段としての有効性に注目し促進をはかっている。いっぽうで,フレキシブル・ワークが相対的な低賃金につながること,および男女間格差を広げることの懸念もいだいている。 しかし,EU のバックアップ,つまり,フレキシブル・ワークの選択が不利にならないようなEU の規制とその国内法制化,その背後にあるETUC の運動の存在,および労使のパートナーシップによるフレキシブル・ワークの推進が,労働者に対するマイナス面の発生防止につながると考えられている。 現状におけるフレキシブル・ワークによるフレキシビリティは,まだ特定の理由に限り申請が認定されるという,かならずしも大きくない動きであり,また従来のフレキシビリティの課題を引きずったままであることは否めない。しかし,この政労使協調の促進の動きは今後のフレキシビリティの継続的な拡大を予想させる。 英国のフレキシブル・ワーキングのキャンペーンの三者のそれぞれの利害,