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10 高知論叢 第93号のは 1 件しかなく,しかもこれはそういう性格のものではなかった。 第 3 に,保険というリスク引受業務の特性を反映して,医療や健康に関する取組み事例が多数見受けられたことである。[社会....

10 高知論叢 第93号のは 1 件しかなく,しかもこれはそういう性格のものではなかった。 第 3 に,保険というリスク引受業務の特性を反映して,医療や健康に関する取組み事例が多数見受けられたことである。[社会・地域福祉支援]に分類したなかに,〔社会医療福祉支援〕の取組みがあった。しかし,喫煙防止教育,交通事故防止策などの社会的リスク管理対策などにもっと取組みが広げられる必要があるのではないかと思った。 これまでの整理ではアンケート回答文を要約したり省略したこともあったが(ただしその内容に変更は加えていない),保険会社については会社そのものが81社と少なく,アンケートを寄せた会社も64社とわずかであるので,体言止めにした以外はほぼ原文のまま掲載することができた。 またこれまで繰り返し述べてきたように,筆者が独自に考えた方法でこのような分類と分析を実施するのであるから,本稿の責任は当然に筆者にある。関心のある向きは,直接に金融庁のアンケート結果の原文を参照していただきたい。 なお金融CSR を,社会的責任金融(SRF)や国際的責任金融(IRF)という概念の枠組みのなかに位置づけようとした研究が,次の拙稿である。紀国正典[2006]「金融の公共性・国際公共性諸学説の検討( 4 )―社会的責任投資(SRI)と社会的責任金融(SRF)―」高知大学経済学会『高知論叢』第87号,2006年11月,および紀国正典[2007]「国際的責任金融(IRF)」立命館大学国際関係学会『立命館国際研究』第19巻 3 号:朝日(関下)教授退職記念号,2007年 3 月。ご参照たまわれば幸いである。 2007年 3 月から連載を始めた金融CSR の事例分析もこれで完了である。金融庁の実施した金融CSR 実態調査は, アンケート方式の自己申告にもとづくものであって当然に限界もある。取組み結果についての数量や実績は不明であって,その中には抽象的な回答や社会的に重要かどうか(金融CSR といえるかどうか)疑わしい事例もあった。しかし金融機関がどのように金融CSR をとらえているかどうかを考察するには,貴重なデータとなった。ここで取り上げた金融CSR 事例は先進部分のそれであって, 他の多くの金融機関がこれらの取組みから学ぶべきものは多い。大変な作業であったがこれにより,今後どのように金融CSR活動を改善していけばよいのかを検討する好材料ができたと,