093号

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経営学分野における本社の定義及び関連諸事項に関する一考察53とともに,本社の役割を全社レベルの戦略策定・意思決定・監督等に特化させることにより,事業部門レベルでも本社レベルでも意思決定を迅速化し,経営の....

経営学分野における本社の定義及び関連諸事項に関する一考察53とともに,本社の役割を全社レベルの戦略策定・意思決定・監督等に特化させることにより,事業部門レベルでも本社レベルでも意思決定を迅速化し,経営の自律性,柔軟性,機動性を高めることで業績改善を達成することなどが主な目的である25。 後者としては,本社または各事業部門が内包していた間接部門(の一部)のシェアード・サービス・センターへの集約,分社化あるいは廃止・業務の外注化(アウトソーシング)の実施などを挙げることができ,これらは間接コスト削減・効率化やコア業務への集中などを主な目的としている。 そして,これら諸施策の検討・実施等の過程で,企業自身によって,またこれを支援した経営コンサルタント等によって,従来は曖昧だった,本社が担当すべき諸機能と,事業部門が担当すべき諸機能,そして自社外部の諸主体に委託可能な諸機能などとの間での,実践的な区分が見直され,明確化されるようになってきたのである26。第四項 1990年代末以後における本社機能分類 1990年代末以後には,1990年代半ばに引き続き,経営コンサルタントやシンクタンク所属の研究員等を中心に,さらに実践的な本社機能分類が行われるようになった。1990年代末以後の本社機能分類を,1990年代半ばやそれ以前のものと比較すると,重要な変化として,以下を挙げることができる。 第一に,分類基準について,1990年代半ばより以前は,主に当時の本社で実際に行われていた基本的な業務プロセス(例: 全社レベルの計画策定-実行(進捗管理や支援などを含む)-評価-修正などの経営サイクルに関するもの)の各段階のいずれに所属・関連するかにより分類していたのに対して,1990年代半ばには,「小さな本社」すなわち肥大化していた本社のスリム化等を目的として,本社が担うべき諸機能として不可欠なものとそうでないもの(及び自社で内製すべきものと,そうでないもの)という基準での分類が行われるようになり,さらに1990年代末以後には,不適切なスリム化が本社の弱体化や機能不全等を惹起したとの反省から,今度は「強い本社」の実現を目的に,本社が強化すべき既存の諸機能や,本社が新たに担うべき諸機能といった,新たな分類基準が加わっている。