093号

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54 高知論叢 第93号 第二に,分類単位の細かさについて,従来は,基本的に本社(本社部門)の構成要素とみなされていた各機能部門(例:財務部,人事部など)が担当している包括的機能の単位で分類していた(例:....

54 高知論叢 第93号 第二に,分類単位の細かさについて,従来は,基本的に本社(本社部門)の構成要素とみなされていた各機能部門(例:財務部,人事部など)が担当している包括的機能の単位で分類していた(例:財務部の担当機能は財務機能)のに対して,1990年代末以後は,本社の各機能部門が担当する機能をより細かい単位の具体的諸機能にまで分けている(例:財務機能をさらに資金計画機能,資金調達機能,資金運用機能,出納機能などに細分化)27。 第三に,分類対象の範囲について,従来は,基本的に一つの企業の本社の諸機能のみを分類対象としていたのに対して,1990年代末以後は,より広い範囲,すなわち,単にある一つの企業の本社の諸機能のみに留まらず,当該企業の諸事業部門の各々における間接諸機能や, さらには当該企業が所属する企業グループ内の各企業の本社及び諸事業部門の各々における間接諸機能をも分類対象に含めるというように,全社レベル,さらには企業グループレベルでの間接諸機能の全てを分類対象とするものが出てきた。 第四に,分類の活用法について,従来は,本社機能の実態像を理解するための諸手段の一つとして,本社機能分類が活用される傾向が強かったが,1990年代末以降は,現時点での本社機能の実態像だけでなく,あるべき本社機能の理想像をも示し,全社レベルで,あるいは企業グループレベルで,間接部門をこのように再編すべきであると提案・説明するための諸手段の一つとして,本社機能分類を活用する例が増えてきた。 以下に1990年代末以後の本社機能分類の代表例を挙げる。なお,これらの間には機能分類の対象範囲や分類区分名などの面において多少の相違が認められるものの,分類結果は基本的に似通っているといえる。これは分類の目的が本社部門をはじめとする,間接諸機能を担当する諸部門のスリム化や業務効率化,あるいは強化(既存機能の強化や新しい機能の付加等)などであるという点で一致しているためであろう28。 まず,梅澤・前川(2003)2(9 第11表)は,今後の本社が強化すべき諸機能,または新たに担うべき諸機能を明示するために,新たな分類区分として,個々の事業部門に対して直接的に付加価値を提供する,プロフェッショナル・サービス機能を提案している。