093号

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82 高知論叢 第93号発展を図るということが規定されている。また,同法第2条では国土整備の原則が記されており,①都市部と農村部のバランスのとれた発展を目的に,②交通や公共サービスが住民の受容できる距離の....

82 高知論叢 第93号発展を図るということが規定されている。また,同法第2条では国土整備の原則が記されており,①都市部と農村部のバランスのとれた発展を目的に,②交通や公共サービスが住民の受容できる距離の範囲内に整備され, ③生活条件(就業機会,居住事情,環境,交通,公共的サービス)が著しく立ち遅れている地域での改善等が図られることにより,住民が能力・人格の自由な発展機会を持つことが必要である,ということが規定されている。 そして,空間整備を行なう際の基本的フレームは,中心地理論に基づく点と軸による開発方式である。都市的サービス拠点や産業開発拠点といった「点(中心地)」を,道路・鉄道・運河等の交通・輸送軸で結ぶことにより,連邦空間整備法で定める理念を実現していこうとするものである。 また,空間整備政策は連邦の大綱的立法分野なので,連邦は空間整備に関する大きな枠組みを示すだけであり,具体的な整備計画を実施するのは州の役割となる。日本の国土計画に相当するものは,各州の策定する州計画(Landesplannung)になる。州計画策定にあたって連邦は,連邦及び各州の担当大臣からなる空間整備閣僚会議(MKRO)を通じて調整を行なうこととなっている。さらに,州計画の下に市町村が策定する建設基本計画(Fプラン:土地利用計画,Bプラン:地区詳細計画)が位置づけられる。 空間整備政策は,連邦空間整備法第2条に規定されているように,都市と農村間での生活条件の不均衡を是正することを大きな課題としている。そして,財やサービス供給機能としての中心地を開発拠点とすることで,多極分散的な都市構造と均衡的な国土構造を形成していくことを目指している。また,連邦空間整備法第1条の?で規定されているように, 空間整備は各地域の所与の条件と必要性を考慮しなければならないという逆流原理(Gegenstromprinzip)がドイツの連邦整備政策の一つの特徴であろう。逆流原理によって,具体的な施策については下位の地域レベルの実状に合わせて行なっていくことによって,連邦領域におけるナショナル・ミニマムが効果的に保障される仕組みになっている。