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94 高知論叢 第93号 本稿の目的は,英国において政労使三者がフレキシビリティを推進する理由,そしてTUC が導入の条件についてどのように考えているのかを明らかにすることにある。そのために,まず,フレキシビ....

94 高知論叢 第93号 本稿の目的は,英国において政労使三者がフレキシビリティを推進する理由,そしてTUC が導入の条件についてどのように考えているのかを明らかにすることにある。そのために,まず,フレキシビリティ促進の背景にある英国の課題について述べ,次に,現在のフレキシビリティの具体的な施策,およびその現状を把握する。また,政労使の三者の見解をとりあげ,とくに,労働者へのマイナスの影響が懸念される点についてのTUC の考え方および推進の要件について考察する。  Ⅱ 英国におけるワーク・ライフ・バランスの課題    -長い労働時間と低いWFI( work family integration)- 近年,ワーク・ライフ・バランスの一環としてフレキシビリティが英国で推進される背景には,第一に労働時間にかかわる問題の存在と,第二にそのことに対しEU の一員として修正が迫られているという状況がある。 まず,英国が抱える労働の問題には,① EU の先進諸国のなかで最も長い労働時間の問題と,②他のヨーロッパ諸国に比較し家族のニーズに対する社会的義務に関するインフラ(WFI:work family integration)の面で遅れているという2 つがある。 英国の長時間労働についてTUC は下記のようにレポートしている。 「全英でサービス残業が増加し2007年にサービス残業を行ったのは,10万3000人増加し500万人である…(中略,筆者)…2007年のクリスマスは例年よりも働く人が多かった…(中略,筆者)…英国で週48時間以上働く労働者がこの10年間ゆるやかに減り続けてきたが,2007年はその流れに逆行し増加」1した。つまり, 英国の長時間労働は,EU のなかでその長さが目立つ上に状況が悪化している点で是正が急がれる問題である。 また,EUの「労働時間指令(労働時間の週48時間規制,時間外労働の規制)」に関するETUC(欧州労働組合総連合会European Trade Union Confederation)1 TUC, 公式サイトhttp://www.tuc.org.uk/index.cfm(2008年2 月10日アクセス)