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英国のワーク・ライフ・バランスとフレキシブル・ワーキング95の下記の指摘から域内規制の意義がうかがえる。 「ヨーロッパ域内のフェアな競争のために労働時間の規制が必要である。より拡大し, より多様化したヨ....

英国のワーク・ライフ・バランスとフレキシブル・ワーキング95の下記の指摘から域内規制の意義がうかがえる。 「ヨーロッパ域内のフェアな競争のために労働時間の規制が必要である。より拡大し, より多様化したヨーロッパで,EU の新しいメンバーの国内における比較的長い労働時間,弱い交渉のしくみ,そして限定的なインパクトしかない規制は,EU のメンバー国すべての労働時間の基準を脅かす」2。 これは最近の加盟国の労働条件の低さや政府による規制の弱さがEU 域内での公正な競争と労働環境を乱すことへの警戒を表したものであるが,英国も同様の理由で批判の的になるのである。 EU 域内では域内の公正な競争と労働者保護のために,「労働時間指令」が発令され,労働時間の週48時間規制,および時間外労働の規制が定められており,英国内では1998年に労働時間規則を実施している。これ以外にも,「パートタイム労働に関する指令」(不利な取り扱いからの保護について2000年に英国内の規則施行)や,「期限付き雇用に関する指令」(不利益扱い防止に関して2002年に英国内規則施行)などの規制が設けられている3。域内の一律の規制があるものの, 労働環境における規制を強めてきたヨーロッパ諸国からみれば,EU指令は大枠での最低限の水準にすぎず,その遵守は充分条件ではない。英国は伝統的に,一般的な労働条件は労使の任意の事項として法的に規制することがほとんどなかった。しかし,1997年労働党政権発足後のブレア首相によるEU(欧州連合)条約の社会政策条項への署名以降, 徐々にEU 指令の国内法制化が進められている。したがって,他の先進的なヨーロッパ諸国に比べ遅れをとっていること自体が英国にとって改善圧力になる。 また,OECD の指摘によると,英国や日本を含む4 つの先進国の家族ニーズに対する社会的義務に関するインフラ(WFI)の遅れと,その原因について「家族の役割とジェンダー平等に関してイデオロギー上の異なる立場に立っている」4。「ヨーロッパに比べると英国・米国・オーストラリア・日本は,ファミリー2 TUC(2006), Challenging Times: Innovative ways of organizing working time: therole of trade unions, p. 6.3 Hugh Collins(2003)Employment Law, Oxford University Press, pp.91-93.4 OECD(2001)Employment Outlook, p. 147.