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欧州における日本企業の生産体制の現状103よるものであり,また生産機能の一部の移管が 5 件あるので,全16件のうち13件が生産移管に伴うものである。それ以外の要因による生産体制の縮小については,欧州での販売不....

欧州における日本企業の生産体制の現状103よるものであり,また生産機能の一部の移管が 5 件あるので,全16件のうち13件が生産移管に伴うものである。それ以外の要因による生産体制の縮小については,欧州での販売不振による現地法人清算 1 件と現地企業への売却 2 件以外は情報が得られなかった。生産移管に関する問題については,次節で考察する。 中欧における生産体制の縮小に関して得られた情報は 2 件であり,いずれも,欧州現地企業からの部品受注がうまく進まずに業績が悪化し現地法人を清算したものであった。4.日本企業の欧州における生産移管の状況(1)生産移管の動向 ジェトロ調査では,2005年度まで「今後の生産体制の考え方(生産拡大・生産拠点移転・現状位置・生産縮小・撤退など)」「 新規生産拠点の設置先の候補」「生産拠点の移転先の候補」などに関する質問がなされていた。しかし,これらの質問に対する回答は,今後の計画や予測に関するものであり,生産体制変化の実態に関するものではなかった。 2006年度の調査において,初めて,生産体制変化の実態に関する質問として生産移管に関する質問が行われた。この質問項目は「過去 5 年間で,どの国から貴任国に生産機能(ライン)もしくは工場が移管されましたか?」というものであり,「はい」に回答した現地法人に対しては「具体的な国名を以下の選択肢からお選び下さい(複数回答可)」と移管元の国を尋ねるものとなっている(5)。 表 9 は,この質問に対する回答結果である。欧州域外からの移管が多いが,これは,大半が日本からの移管である。ここでは,本稿の考察の対象地域である欧州域内での生産移管に注目しよう。 欧州域内では,35現地法人が55カ国から生産移管が行われたと回答している。最も多い分類は,西欧から中欧への生産移管であり,回答企業で54.3%,選択国で58.2%を占めている。西欧域内での移管(回答企業で25.7%, 選択国で20%)や中欧域内での移管(回答企業で14.3%, 選択国で9.1%)の例もあるが, 欧州域内での生産移管の中心は西欧から中欧への移管だと言って良いであろう。