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欧州における日本企業の生産体制の現状107産活動が困難になっていることを反映していると思われる。 しかし,3 つの親会社は,西欧生産拠点から中欧生産拠点への生産移管後に,西欧生産拠点を閉鎖せず,両地域で分....

欧州における日本企業の生産体制の現状107産活動が困難になっていることを反映していると思われる。 しかし,3 つの親会社は,西欧生産拠点から中欧生産拠点への生産移管後に,西欧生産拠点を閉鎖せず,両地域で分業関係を形成している。また,生産移管後の西欧生産拠点の状況については情報を得られなかった親会社 2 社も,ジェトロ2006年度調査のデータでは生産移管元の西欧生産現地法人を維持しているので,何らかの分業関係に基づいて西欧拠点と中欧拠点で生産を維持継続していると思われる。このような欧州域内における生産移管後の企業内分業関係の具体例として情報が得られたものとして,(a)ショックアブソーバーの生産において,量産品を中欧で,高付加価値品を西欧で生産。(b)テレビの生産において,ブラウン管テレビを中欧で,薄型テレビを西欧で生産。(c)鋼球の生産において,産業機械向けを中欧で,自動車向けを西欧で生産などの事例がある。このような企業では,生産移管に伴う生産体制の再編成の中で,西欧生産拠点には西欧の立地優位性や西欧拠点自身の企業所有優位性を反映した新しい役割が与えられ,中欧生産拠点との間で企業内分業体制が形成され,それが企業の欧州全体での競争力を向上させていると考えられる。しかし,西欧生産拠点を閉鎖することの費用やサンクコストを考慮して,とりあえず西欧生産拠点を維持している可能性もある。生産移管後に西欧生産拠点にどのような位置づけを与えるか,あるいは与えずに閉鎖するか,日本企業の欧州地域戦略が問われる問題であると言えよう。 さらに,本稿では議論を生産体制に限定しているので考察の対象からは外したが,より広い意味での企業内分業関係について考えるなら,生産機能と非生表15 西欧から中欧へ移管を行った 9 親企業の単独研究開発拠点の設置状況親会社数変化の状況増  加3 社2002年 0 拠点 → 2006年 1 拠点  2 社2002年 2 拠点 → 2006年 3 拠点  1 社同  数5 社2002年 0 拠点 → 2006年 0 拠点  4 社2002年 1 拠点 → 2006年 1 拠点  1 社減  少1 社2002年 2 拠点 → 2006年 1 拠点  1 社(出所)『ジェトロ調査』(2002年度調査版・2006年度調査版)より作成