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108 高知論叢 第94号産機能との分業関係についても検討する必要性があるだろう。ここでは,生産機能と研究開発機能との分業に関して,ごく簡単に考察しておく。表15は,西欧から中欧へ生産移管を行った企業 9 社に....

108 高知論叢 第94号産機能との分業関係についても検討する必要性があるだろう。ここでは,生産機能と研究開発機能との分業に関して,ごく簡単に考察しておく。表15は,西欧から中欧へ生産移管を行った企業 9 社について,工場に併設されたものではない単独設立型の研究開発・デザインセンター施設の設置状況を示したものである。2002年度から2006年度にかけて,3 社が研究開発・デザインセンター施設の数を増加させている。この 3 社は,いずれも,中欧への生産移管に伴い西欧生産拠点を閉鎖した企業であった。つまり,これらの企業は,一方で生産機能は西欧から中欧に移管し,他方で西欧拠点の機能を生産から研究開発に重点を移しており,広い意味での企業内分業を欧州全域で形成していると言うことができると思われる。おわりに 本稿では,欧州における日本企業の生産体制の概要をとらえ,簡単な考察を行った。その結果をまとめておこう。 第 1 節では,欧州における日本企業の生産現地法人の数を確認した。在欧現地法人の数は,2003年度まで増加しその後は横ばい状態にある。その内訳をみると,西欧の現地法人の数は2001年度以降に減少し,中欧の現地法人の数は継続的に増加している。 第 2 節では,日本の親会社が西欧と中欧の生産現地法人をどのように変化させているかという,子会社所有状況の変化について考察した。欧州に現地法人を所有している日本企業は,①西欧のみに現地法人をもつ企業,②西欧と中欧に現地法人をもつ企業,③中欧のみに現地法人をもつ企業に分けられる。これら 3 種の企業のうち,①西欧のみに現地法人をもつ企業が圧倒的に多く,その動向が欧州に現地法人をもつ企業全体の動向を決めていた。西欧のみに現地法人をもつ企業は西欧・中欧で現地法人の数を変化させていない現状維持的な場合が最も多いが,西欧減少・中欧不変の場合も多くあった。他方で,西欧か中欧で現地法人を増加させている元気な企業もある程度みられた。②西欧と中欧に現地法人をもつ企業は,西欧のみに現地法人をもつ企業と異なり,西欧でも