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46 高知論叢 第94号関は必要にして重要な情報を,だれにでも分かりやすく提供する義務がある。それが金融の専門家たる金融機関の社会的使命である。この点で,ホームページでのCSR 表示に熱心な銀行は, 写真を掲載....

46 高知論叢 第94号関は必要にして重要な情報を,だれにでも分かりやすく提供する義務がある。それが金融の専門家たる金融機関の社会的使命である。この点で,ホームページでのCSR 表示に熱心な銀行は, 写真を掲載し難しい用語を使用しないで説明する配慮が行き届いていた,という学生の評価をうれしく思った。 第3に,体力や規模にもともと格差がある地方銀行と巨大銀行を,同じ基準で評価していいかどうかに関してであるが,これについては何度も議論が起こり,ずっと学生たちは悩んでいた。しかし採点評価してみれば,個々の取り組みでは地方銀行でも巨大銀行に負けないところが出てきて,学生たちは一様に安心した様子であった。しかし総合評価では,上位に巨大銀行がならんだ。9-2「総合点数評価」の学生のまとめにおいて,「体力や規模,経営範囲を盛り込んでのより高度な評価手法が必要である」との課題が示されたが,わたしも同感である。 しかしながら, 規模の序列が金融CSR の取り組み序列になっているとは,わたしは思わない。巨大銀行が上位にきたのは,一つは環境に関する取り組みの多さと,もう一つは従業員に関する取り組みの情報発信の多さからである。しかし規模の小さい金融機関ほど環境に関する取り組みが弱いようにも感じるので,その点の解明は必要である。 学生たちは,さぞや多くの社会的責任金融知識を得られたことと思う。会社研究にも役だったことは,学生の記した「調査・評価活動のまとめ」から明らかである。 注)1) 金融CSR やその評価方法については参考文献でも紹介したような専門書も出始めているし, 一般企業のCSR 評価方法について蓄積された知識や専門評価機関の格付け方法などもある(例えば参考文献にあげた,経済法令研究会編[2007]『金融CSR 総覧』,斎藤槙[2000]『企業評価の新しいモノサシ―社会的責任からみた格付基準』など)。これらを学習してその方法に学び,それを応用するという調査・評価方法もある。しかしわたしは,このような学習方法をあえて指導しなかった。これらのコピーでなく,まったくの素人である一般金融消費者の立場にたって評価するとすればどのような方法があり,どのような課題がみえてくるのかを,白紙の状況から考えてもらおうとしたからである。学生たちには, 金融CSR の評価方法につ