094号

094号 page 54/118

電子ブックを開く

このページは 094号 の電子ブックに掲載されている54ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
52 高知論叢 第94号術水準に達し,為替水準が低く,安価な労働力の豊富な国に生産拠点を移すといった国際化戦略をとることは,一般に困難である。だが,インドは医薬品の生産委託の可能性がある国のひとつである。....

52 高知論叢 第94号術水準に達し,為替水準が低く,安価な労働力の豊富な国に生産拠点を移すといった国際化戦略をとることは,一般に困難である。だが,インドは医薬品の生産委託の可能性がある国のひとつである。インドは,2002年の世界貿易機関(WTO)加盟に伴い,貿易関連知的所有権協定(Agreement on Trade RelatedAspects of Intellectual Property Rights: TRIPS)の適用を受け,特許法が改正され2005年から物質特許が認められている。だが,それ以前は,1970年特許法により医薬品にも物質特許が認められず,また,代替的な製薬方法の開発が可能であった。その結果,インドの製薬業界では,海外の特許期間中の新薬について独自の製法で生産することが可能となり,製法技術が著しく発展した2)。そのような製薬の技術力に加え,上昇しているとは言え先進諸国通貨と比べ安いルピーも, インドのジェネリック医薬品メーカーの国際的競争力の源泉となっている。このような経緯により,インドのジェネリック医薬品メーカーの中には,ジェネリック医薬品の売上規模で世界有数に成長したドクターレディズ・ラボラトリーズ社(Dr. Reddy’s Laboratories Ltd.)やランバクシー・ラボラトリーズ社(Ranbaxy Laboratories Limited)のような企業もある。 ところで,我が国の製薬業界では,近年,ジェネリック医薬品メーカー,先発薬メーカー,外資を巻き込んだ合併・買収などの業界再編が活発化し,業務提携関係,資本関係は複雑さを増している3)。そのような中,インドのルピン社(Lupin Limited)による共和薬品工業株式会社の子会社化(2007年10月)や第一三共株式会社によるインドのランバクシー・ラボラトリーズ社(RanbaxyLaboratories Limited)の子会社化の発表(2008年6月)などインドのジェネリック医薬品メーカーを巻き込んだ再編化が起こっている4)。それゆえ本研究では,ジェネリック医薬品メーカーを中心に,インドへの生産委託の現状と今後の可能性を調査することを主たる目的とし,さらに海外への生産委託,原薬・添加剤の輸入,国内の業務提携,我が国へのインドのジェネリック医薬品メーカー進出等について幅広くアンケート調査を行い,その分析を行った。アンケート調査は,ジェネリック医薬品の製薬会社の団体である日本ジェネリック製薬協会(44社)を対象とした。アンケート項目は,「海外への生産委託(製剤化・最終製品化)状況」,「原薬・添加剤の輸入状況」,「国内のジェネリック医薬品メーカー