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競争次元の高度化と日本デジタルスチルカメラ産業の国際競争力(1) 77て次々と展開された。その結果,急速な競争次元の高度化が起こったのである。そして,1995年に想定していた性能,機能を超えた新しい性能,新....

競争次元の高度化と日本デジタルスチルカメラ産業の国際競争力(1) 77て次々と展開された。その結果,急速な競争次元の高度化が起こったのである。そして,1995年に想定していた性能,機能を超えた新しい性能,新しい機能,新しいデザイン,新しい商品コンセプトが企業間競争の過程で差別化ポイントとして世に問われ,その結果,激しい部品技術の変動と数多くの技術変化が現在まで続いたのだろう。 ここまでの議論を整理してみよう。DSC 完成品企業各社が新しい差別化ポイントを次々と世に問い,消費者が選択的に受容し,その受容したポイントを永続的に求めるような競争次元の高度化が起これば,部品技術の変動は激しくなり,技術変化も高い頻度で起こるということである。もし,これが事実であるならば,消費者がDSC に必要と認めた性能,機能,デザイン,商品コンセプトが多かったこと(=競争次元の広がり),そして,それぞれ求められるレベルが高かったこと(=各競争次元の深さ)が世界市場における日本企業の国際競争力の発揮に影響を及ぼしているのではないだろうか。DSC という製品自体に競争次元を高度化させる潜在的なパワーがあったのではないだろうか。つまり,いくら企業が差別化ポイントを製品に付与し,消費者に提案しても,その製品に不似合いな性能,機能,デザイン,商品コンセプトであれば,消費者は拒否し,部品技術の変動も落ち着くだろうし,技術変化のペースも落ち,競争次元の高度化は緩やかになるだろう。モジュラー型に分類されるデジタル情報家電のなかでも,日本企業がプレゼンスを維持できている製品とそうでない製品がある所以のひとつは,ここにあるのではないだろうか11。 本稿では,①そもそも競争次元の高度化とはどのように生じるのかを検討し,② DSC 産業, 他のデジタル情報家電における競争次元の高度化を整理し, ③それらを比較することで競争次元の広がりと深さが国際競争力に関わってくることを明らかにしたい。①から③の議論に入る前に,次節は,DSC 産業において日本企業が国際競争力を発揮し続けている様子を粗描し,その上で,日本企11 このポイントのみで判断できるわけではない。競争次元が高度化しているが,世界市場での日本企業のプレゼンスが低い携帯電話を説明できない。日本市場がリードマーケットであるならば,その競争次元を世界各国の市場へ如何に展開していくのか,この巧拙が問われるのだろう。こういった議論は稿を改めて検討しなければならない。