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78 高知論叢 第94号業の競争力に関する先行研究との整合性を測ることにしよう。Ⅱ 先行研究にみるデジタルスチルカメラ産業における日本の国際競争力 DSC 産業において日本企業が国際競争力を発揮し続けてきた要....

78 高知論叢 第94号業の競争力に関する先行研究との整合性を測ることにしよう。Ⅱ 先行研究にみるデジタルスチルカメラ産業における日本の国際競争力 DSC 産業において日本企業が国際競争力を発揮し続けてきた要因を歴史的に振り返れば,(1)民生用市場幕開け前までに断絶することなく技術蓄積してきたこと,そして,(2)その技術蓄積を活用して画素数競争を市場に導入することで外国企業のキャッチアップを逃れ,(3)多種多様な製品差別化を伴った競争を展開することによって引き続き外国企業の追随をかわし,(4)事業システムの組み替えによって,製品競争力に結びつく性能,機能の開発を可能にしてきたことといえる。以下では,それぞれについてみていこう。(1)絶え間ない技術蓄積 真空管が半導体に代替される流れのなかで, 業務用テレビカメラ用途に撮像管の固体化を進めようと日米の企業が研究開発していた12。1970年に米国のベル研究所でCCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)が発表された13。CCD の発明を受けて, テレビカメラだけではなく, 銀塩カメラを代替する静止画市場を考える企業が現われた14。その代表的な企業がソニーであり,CCDの発表を知るや中央研究所の中のエンジニアの何人かが関心を持ち,その研究を開始し,1972年に「フィルムを使わない,全部エレクトロニクスによるカメラ」を想定したCCDカメラプロジェクトが設けられている15。また,ソニー以外にも,銀塩カメラがなくなることによって直接に影響を受けるカメラメーカーやフィルムカメラメーカーも1970年代後半には,CCD カメラの開発を開始している16。12 青島[2003]116ページを参照。13 CCDはレンズが結像したイメージを受光する半導体であり,銀塩カメラにおけるフィルムに当たるものである。14 青島[2003]117ページを参照。15 同[2003]117ページ,菊池[1992]156-160ページを参照。16 福島[2002]126ページ,青島[2003]117ページを参照。