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競争次元の高度化と日本デジタルスチルカメラ産業の国際競争力(1) 81ある「C-1400L」を実勢価格10万円弱(定価は128,000円)で発売する26。オリンパスは消費者が「QV-10」に対して抱いている不満は画質に集中し,....

競争次元の高度化と日本デジタルスチルカメラ産業の国際競争力(1) 81ある「C-1400L」を実勢価格10万円弱(定価は128,000円)で発売する26。オリンパスは消費者が「QV-10」に対して抱いている不満は画質に集中し, もっと高画質なDSC に対して消費者の要求があることを大規模市場調査から捉えていた27。その要望に応えた「C-1400L」は銀塩写真システムの代替としてのDSC 市場を開拓する新たな流れであった28。そして,こうした流れをC-DSC において決定的にしたのは,富士フイルムが発売した「FinePix700」である。「FinePix700」は150万画素CCD を搭載し,徹底的にデザインにこだわった製品であった。価格も定価99,800円を実現しており,大きなヒット商品になり,画質を競う競争が本格的に定着する29。この競争は画素数が画質の代理変数とすることから画素数競争と呼ばれる。オリンパスと富士フイルムは,一般消費者が手に届く価格を設定しながら,画素数競争という自分たちの得意な土俵に引き寄せた30。 「C-1400L」や「FinePix700」は「QV-10」など30万画素前後の製品に比べれば高価格であったが,100万画素を超えるCCD を搭載した製品としては驚くべき低価格であった。では, なぜ, この 2 社は競合他社に先駆けて製品を投入できたのだろうか。答えは, 前項で述べた技術蓄積にある。富士フイルムの「FinePix700」の例であれば, 低コスト化するためにCCD サイズを2/3インチから1/2インチに変更した31。これはマスクサイズが同じであれば,CCD のワンチップあたりの大きさが小さくなればなるほど, 多量のCCD を採ることができる。したがって,2/3インチから1/2インチにCCD サイズを小さくすることで1枚のマスクからより多くのCCD を採ることができ,CCD の単価を引き下げることができる。しかし,実はCCD 単価が下がるというメリットがあると同時に,同じ画素数を持ったままでCCD サイズを小さくしようとすれば,ひとつひとつの画素サイズが小さくなり,信号量が低下し,撮影感度が低くなるとい26 レンズ一体型DSC ではあるが, 構造としては一眼レフである。現在, レンズ一体型DSCのハイエンドセグメントにおいて,ラインナップされることがほとんどである。27 青島[2004]27-28ページを参照。28 同[2003]118ページを参照。29 同[2003]119ページを参照。30 同[2003]119ページ,土屋・劉[2003]203ページ,山口[2004]254ページ,古館[2004] 9 ページを参照。31 長沢[2004]60-61ページを参照。