094号

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86 高知論叢 第94号法の開発によってCCD を小型化し, ③パッケージの廃止や付帯するマイコンを 1 チップ化することによりバッテリー容量を維持したまま薄型化し,④様々な工夫によって内部実装効率を上げ,実装面....

86 高知論叢 第94号法の開発によってCCD を小型化し, ③パッケージの廃止や付帯するマイコンを 1 チップ化することによりバッテリー容量を維持したまま薄型化し,④様々な工夫によって内部実装効率を上げ,実装面積の小型化と基板の薄型化を実現した42。「T1」は部品点数の削減,部品の小型化,レイアウトの変更によって軽薄短小を実現したのである。 しかし,部品やユニットレベルの成果を結集することによってデザイン性を追及するばかりではない。要素間コーディネーションによって, デザイン性を追及することもある。その例として,キヤノンの「IXY DIGITAL」がある。これは多くの消費者にデザイン性を求めさせるきっかけになった製品といえる。小型化を目指すとき,容量の嵩張るものを小さくすることによって,小型化を実現しようと考えるだろう。C-DSC の場合,容量の大きなものにレンズとバッテリーがあり,これらの小型化が進んできた。「IXY DIGITAL」の場合も同様である。ここでは充電池に注目すると,充電池を小型化した結果,充電池の容量と画像処理回路の消費電力の大きさがアンバランスになり,一度の充電で撮影できる枚数が極端に少なくなることが「IXY DIGITAL」の製品開発プロセスの中で明らかになった。この課題に対して,画像処理回路を動かすクロック数を下げることによって消費電力を抑え,撮影枚数を保つという解決方法がある。しかし,クロック数を下げることで使用者の操作に対してレスポンスが遅くなったり,画像処理に掛かる時間が長くなったりすることで消費者に不快感を与えるかもしれない。そこで,問題が生じないかひとつの動作ごとに使い勝手を検証し,問題点があればそれをファームウェアで改善していくという作業をすることで,撮影枚数を確保し,操作性も保ったのである43。これは絵作りの能力における要素間コーディネーションといえる。バッテリー容量の少なさに端を発して,画像処理回路のクロック数を下げなくてはいけなくなり,それによって起こり得る操作性の低下を避けるために,「絵作り」に関係する要素間のコーディネーションを行うことで,製品を作りこんでいったのである。「絵作り」を繰り返し行うことによって,要素間がどのような相互関係を持ってい42 野田[2004]を参照。43 富岡[2004]209-210ページを参照。