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98 高知論叢 第95号な面でも民間ビジネスが優れているという見解を示した。さらに,「今後の方向」として,市町村常勤ヘルパーの役割をホームヘルパー全体の指導と重度要介護者の身体介護に特化させ,「コストが 3 ....

98 高知論叢 第95号な面でも民間ビジネスが優れているという見解を示した。さらに,「今後の方向」として,市町村常勤ヘルパーの役割をホームヘルパー全体の指導と重度要介護者の身体介護に特化させ,「コストが 3 分の 1 から 5 分の 1 ですむ非常勤へルパー,市民ヘルパーをできるだけ配置し,研修に努める」ことを提案している27。 しかし,ホームヘルパーをコストの低い非常勤ヘルパーと登録へルパーに置き換えることで効率化を図ることはできない。訪問介護は介護労働の中でも,最も専門性が高いサービスの 1 つである。個別性が高く,多様なニーズに対応するだけでなく,住み慣れた自宅で長期的な支援を行うため,生活の連続性に配慮し,また変動性に対応する必要性が高い。頻繁に入れ替わる可能性があり,定着を期待できないヘルパーが,そうした訪問介護の中核を担うことは,むしろ非効率であり望ましいことではない。石田は,実際に先の調査結果にあった民間ビジネスのパート賃金水準が実際の事業費補助方式の補助単価に相似していると指摘しているが28,実際の補助基準が低水準となることから,経験の豊かなホームヘルパーを常時雇用し,積極的に派遣していくインセンティブがなくなることが,事業費補助方式の第 1 の問題点である。 さらに,第 2 の問題は補助金の算定項目にある。人件費補助方式の下では,ホームヘルパーの雇用形態に応じて,その活動した月数や日数,時間数に応じて補助金が算定されており, その活動内容のすべてが補助の対象となっていた29。事業費補助方式では,実際に提供したサービスの量(時間数・回数)に応じて補助されるが,ヘルパー間で引継ぎや情報交換などを行うミーティングや,ケースワーカーや保健師,看護師らともつケース会議などに参加する時間,派遣先を訪問するための移動時間(30分未満の場合)については算定項目とならない。また,介護ではなく安否確認を目的とした「見守り」訪問や資格取得や技27 同上,p. 15。28 同上,p. 17。29 ただし,「常勤ヘルパー」の適用基準は活動時間が週25時間,月100時間以上となっている(厚生省老人福祉計画課「ホームヘルプサービス事業実務問答集」(1997年 7 月25日))。これには通常の訪問介護や訪問のための移動時間も含まれるが,ヘルパー間で引継ぎや情報交換を行うミーティングや, ケースワーカーや保健師看護師らともつケース会議などに参加する時間,ケース記録を書く時間などが含まれない。いずれもヘルパーの業務として重要なものであり,この点に問題はある。