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101 書 評金谷嘉郎著『近代日本経済史の諸問題』を読んで高        祥  田  村  安  興   高知女子大学名誉教授,金谷嘉郎氏はこれまで,近代日本経済史,就中農業経済史に関して研究されてき....

101 書 評金谷嘉郎著『近代日本経済史の諸問題』を読んで高        祥  田  村  安  興   高知女子大学名誉教授,金谷嘉郎氏はこれまで,近代日本経済史,就中農業経済史に関して研究されてきた。本書は金谷嘉郎氏が長年の研究を集大成したものである。 本書は,金谷氏の研究の中で,地主制の地域的特質,賃金の地域的格差,農家経営,農家雇用問題を課題とする論文をとりまとめたものである。 本書は4部構成であり,1. 明治初年の農業と地主制の形成 2. 実質賃金の推移と景気変動 3. 戦前の農家経営 4. 幕末の先進地農村 からなっている。第1部 明治初年の農業と地主制の形成 明治前期の地主制について,1960年前後の地主制論争では,高い特有農作物比率地帯と高い小作地率とを結びつけて議論が行われていたようである。本書では明治10年代における地主制が如何なる地帯で,また如何なる要因によって発展していたかを,当時の農業生産の側面から分析した。そして小作地率と農業生産諸指標との相関分析から,如何なる地帯で小作地率が高いかを明らかにして,その要因を明らかにした。 まず,畿内・懶戸内の場合について,全国の小作地率と特有農産物比率は関係がなく,小作地率と反当農業粗生産価額との間には相関関係があることを明らかにした。また,小作地率と農業有業人口 1 人当農業粗生産価額の相関係数高知論叢(社会科学)第95号 2009年 7 月