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22 高知論叢 第95号 (e)の国際金融システムリスク管理とは,国民金融システムによって構成された国際金融システムの,システムとしての持続可能性を高めるリスク管理のことである。国境をこえてリスクが集中する....

22 高知論叢 第95号 (e)の国際金融システムリスク管理とは,国民金融システムによって構成された国際金融システムの,システムとしての持続可能性を高めるリスク管理のことである。国境をこえてリスクが集中する国際的な規模の金融仲介機関には,個々の自主的なリスク管理に加えて,法令や規制,条約などにより強制的なリスク管理基準が定められており,本国や現地国の規制・監督に服さなければならない。国際金融システムリスク管理の必要性から,複数国の多様な規制・監督当局や金融行政機関が登場して,国際金融システムの要素単位に加わる。 これらのいずれのリスク管理も,システムの要素単位がリスクを容易に認知でき,それを自分で持続的に負担できる範囲に抑制できればできるほど,システムとしての安全性・健全性は増す。後ほど述べるリスク情報の表示と開示が,必要不可欠になるのである。 (d)の社会システムリスク管理とは,国民社会システムのシステムとしての持続可能性を高めるリスク管理のことであり,(f)の国際社会システムリスク管理は,国民社会システムによって構成された国際社会システムの,システムとしての持続可能性を高めるリスク管理のことである。 これらのリスク管理は,これまで金融リスク管理の対象や目標になっていなかったが,金融は社会システムや国際社会システムのシステムとしての持続可能性に責任をもたなければならない。 これらのいずれのリスク管理も,地球温暖化,環境汚染,貧困,内乱,戦争などの社会システムの持続性を危うくする要因を抑制でき,人類社会の持続的な幸福を支え,それに必要な社会的責任費用を負担できる金融システムを創出することが目的である。 第 5 に,金融は,社会や国際社会に対して強大な影響力と支配力をもつ恐い公共財である。 金融は,財政と同じように富の分配と再分配の機能をもつものであるが,その範囲と規模は一国の国民経済や国家財政をはるかに凌ぐほどのものだからである。したがって富裕層や強大な資金力をもつ金融仲介機関が,投機や情報操作などによって,市民や社会からそして力の弱い者や国から富を収奪する公共財にもなる。アジア通貨危機のときのように,投機の対象として弱い国を収奪