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金融ユニバーサルデザイン(上) 319 ) 中川聡氏は,ユニバーサルデザインの評価原則の付則として,付則 1「 長く使えて経済的である」,付則 2「 品質が優れていて美しい」,付則 3「 人体や環境にやさしい」とい....

金融ユニバーサルデザイン(上) 319 ) 中川聡氏は,ユニバーサルデザインの評価原則の付則として,付則 1「 長く使えて経済的である」,付則 2「 品質が優れていて美しい」,付則 3「 人体や環境にやさしい」という三つの評価原則を開発した。中川聡監修[2002]『ユニバーサルデザインの教科書』,同[2005]『ユニバーサルデザインの実践マニュアル』。10) 翻訳にあたっては,できる限りわかりやすい日本語になるように努めた。しかも原文に忠実にそのニュアンスが伝わるよう配慮した。このため意訳し過ぎるのも控えた。  7 原則の内の,原則 1 についての定義の英文は,「The design is useful and marketableto people with diverse abilities.」である。Marketable については,「市場性がある」「市場がある」あるいは「需要がある」「よく売れる」などという訳が望ましいかもしれない。生前のロナルド・メイス氏に直接のインタビューを経験した川内氏は,メイス氏がユニバーサルデザインにおけるマーケティングの重要性を主張し,「商売として実際に成り立つ」ことを強調していたことを紹介している(川内美彦[2001]『ユニバーサル・デザイン:バリアーフリーへの問いかけ』pp. 91~92)。ある特定の障がい者向けの特別仕様のものはどうしても高価になる。すべての人が利用できるようにすることで安価にしたいことが念頭にあったのかもしれない。ガイドラインでも,「魅力的なデザイン」であることが要求されている。 しかしながら,有形物だけでなく,無形的性格を中心とするソフトウェアーユニバーサルデザインにも適用できるようにするため,これを「人々すべてが求めたくなるもの」と訳した。 また,原則 5 の原則名の英文「Tolerance for Error」について,「失敗について寛容であること」と訳している文献やWeb サイトが多い。これだと日本語では,失敗に至る経過全体を大目にみる,あるいはリスク管理についてもあいまいでいいような意味合いが出てしまう。だがガイドラインの説明は,厳格で緻密なリスク管理を事前に施すことによって,失敗しても大きなダメージにならないことを求めたものである。toleranceには,「許容できる程度」という意味もあるので,「失敗したとしても許容できる範囲であること」という訳にした。こうすればリスクを本質的にともなう金融利用におけるユニバーサルデザインにふさわしい訳になる。 なお,できる限りわかりやすい表現になるように訳文をくりかえし改訂したが,その過程で何度も妻裕子に読んでもらい,そのアドバイスを参考にした。 ユニバーサルデザインは次の提唱者たち(アルファベット順)によって完成された。Bettye Rose Connell, Mike Jones, Ron Mace, Jim Mueller, Abir Mullick,Elaine Ostroff, Jon Sanford, Ed Steinfeld, Molly Story, and Gregg Vanderheidenである(Guidelines for Use of the Principles of Universal Design January 29, 1999 /Revised September 9, 2002の指示 4 に従った注記)。11) コンピューターとインターネットによって形成される情報化社会を,ソフトウェアーと学習という視点から考察した研究成果が,池上惇氏の次の文献である。池上惇[1985]『情報化社会の政治経済学』,池上惇[1996]『マルチメディア社会の政治