095号

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2 高知論叢 第95号降,第Ⅴ章「金融ユニバーサルデザインの定義と原則」,第Ⅵ章「金融ユニバーサルデザインの適用領域と関連領域」,第Ⅶ章「社会的責任金融・国際的責任金融ユニバーサルデザイン」の順序で,筆者....

2 高知論叢 第95号降,第Ⅴ章「金融ユニバーサルデザインの定義と原則」,第Ⅵ章「金融ユニバーサルデザインの適用領域と関連領域」,第Ⅶ章「社会的責任金融・国際的責任金融ユニバーサルデザイン」の順序で,筆者が構想する金融ユニバーサルデザインの具体的内容について提案したい。1)Ⅱ 公共性とユニバーサルデザインユニバーサルデザインの経緯・背景 ユニバーサルデザイン(Universal Design)とは,わたしたちが日常的に使っている道具類や各種の家電製品,その他多くの工業製品などの物づくりや,住宅,建物,道路,交通機関,駅などの街づくりに際して,高齢者や障がいがある人々もふくめ,すべての人が快適に利用できるようにしていこう,という思想や考え方である。 このような思想を最初に提案したのは,アメリカのノースカロライナ州立大学教授で建築家でもあった故ロナルド・メイス(Ronald Mais)氏であるといわれている。彼はポリオによる後遺症で車椅子を使用していた障がい者であった。 メイス氏は,1970年代中頃,障がい者の立場から全米基準協会の改訂作業やノースカロライナ州の建築基準作りにかかわっていたときに,このような思想を思いついたという。車いすのマークのついたトイレは障がい者専用のものであるが,ベビーカーを押す人や手押し車の人などにも恩恵をもたらすことに気づいたのである。障がいのある人に必要なものは, 実は他の人にとっても必要であると考えた。そして1985年に『デザイナーズ・ウエスト』という雑誌に「Universal Design」と題した一文を掲載した。これがユニバーサルデザインという概念が,世に誕生した最初であるという。2) 彼はノースカロライナ州立大学のユニバーサルデザインセンター(NC StateUniversity, The Center for Universal Design)のセンター長を務め,そこを中心として広く活躍していたが,惜しくも1998年に急逝された。 ユニバーサルデザインの基本思想は,次のように定義されている。「製品および環境のデザインは,改造や特別のデザインを必要とすることなく,