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生産物の商品化と労働の商品化43働が商品として価値をもつとみなされるかにある。マルクスによれば,労働が価値をもつと映じる究極の根拠は,労働生産物にかんする「商品交換の法則(dasGesetz des Warenaustausches....

生産物の商品化と労働の商品化43働が商品として価値をもつとみなされるかにある。マルクスによれば,労働が価値をもつと映じる究極の根拠は,労働生産物にかんする「商品交換の法則(dasGesetz des Warenaustausches)」(Kapital,Ⅰ, S. 247, S. 609)のなかにひそむ。 すなわち,社会の維持再生産にとって,物質的財貨をつくる労働が本源的な生産的労働をなすのとおなじように,労働生産物である物質的財貨は,商品の基本形態である1)。「労働生産物の商品への転化」(Ibid., S. 102)といい「独自に社会的な生産物形態」(『直接的生産過程の諸結果』国民文庫,岡崎次郎訳,444[原]ページ)といわれるように,商品とは,第一義的に,物質的財貨である生産物の転化形態ととらえられる。そこで,本節では,ひとまず生産物の商品形態に着目し,使用価値そのものが商品となり,価値をもつ関係をとく。 物質的財貨である商品を研究対象にすえれば,生産物そのものが特定の具体的な欲望をみたす使用価値である。いかなる社会形態にあるかにかかわらず,労働生産物は,それ自体特定の使用価値である。ところが,生産条件の私的所有がなりたつ社会形態にあっては,使用価値である労働生産物は,商品へと転化する。だから,物質的財貨にあっては,生産物というすがたにある使用価値そのものが販売対象としての商品である。みかんが八百屋の店頭にならんでいるとすれば,物質的財貨としてのみかんそのものが,使用価値の特定の社会的な形態である商品である。マルクスが,「いろいろに違った使用価値または商品体」(Kapital,Ⅰ, S. 56)とか「使用価値である上着やリンネルなど簡単にいえばいろいろな商品体」(Ibid., S. 57)とかいうとおりである。「商品は,使用価値または商品体(Warenkorper)の形態をとって, 鉄やリンネルや小麦などとして,この世に生まれてくる。」(Ibid., S. 62)したがって,労働生産物は,生産条件の私有によって,商品へと転化するのだから,それが商品として価値をもつというのは,使用価値そのものが価値をもつというのとおなじである。使用価値と価値とは,商品の二要因であるが,商品の一つの要因である使用価値それ自身がもう一つの要因である価値をもつ関係にたつ。「ある使用価値または財貨が価値をもつ」(Ibid., S. 53)とか「ある使用価値の価値量を規定するものは」(Ibid., S. 54)とか「商品すなわち価値をもつ使用価値」(Mehrwert,MEGA,Ⅱ/3・4,S. 1515)とかいうのは,使用価値そのものが価値をもつ関連をあらわす。