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生産物の商品化と労働の商品化452 労働の商品化の根拠 前節では,商品の基本形態としての物質的財貨を対象にすえ,そのばあい,労働生産物である使用価値そのものが商品体をなし,価値をもつしくみを分析した。そ....

生産物の商品化と労働の商品化452 労働の商品化の根拠 前節では,商品の基本形態としての物質的財貨を対象にすえ,そのばあい,労働生産物である使用価値そのものが商品体をなし,価値をもつしくみを分析した。そこで,本節では,さらに一歩議論をすすめ,労働力商品の販売にあっては,労働力の使用価値である労働そのものが商品として販売対象をなし,価値をもってあらわれるしくみをとく。 労働者からの生産条件(生産手段プラス生活手段)の分離は,労働者から生産活動のための物質的な基礎をうばい,生活のかてをうるための手段として労働力の商品への転化を規定する。労働者が資本家にたいして販売する商品は,表面上労働そのもののようにみえるが,じつは労働能力にほかならない。けだし,労働は,価値の実体ではあるが,それ自身価値をもっていないからである。労働力の価値は,商品としては,物質的財貨である商品とおなじように,その生産に必要な労働分量によってきまる。ただし,労働力のばあい,生きた個人の存在は前提であるから,その生産は,消耗した労働力の再生産に還元され,労働力商品の価値は,労働力の回復にようする消費財の価値に帰着する。だから,古典派経済学のように,「労働と労働能力との混同」(Mehrwert,MEGA, Ⅱ /3・3,S. 1028)はゆるされない。 ところが,使用価値そのものが商品体をなし,使用価値と商品体とがおなじ物質的財貨のばあいとちがって,労働力商品のばあい,使用価値である労働が商品体である労働力そのものから分離した形態をとる。すなわち,労働者は,資本家にたいして労働力の価値とひきかえに,労働力の使用価値をひきわたす。つぎのマルクスの文言は,販売時点における労働力の使用価値のひきわたしを明言したものとして,注目にあたいする。「第一に。流通4 4 過程で行なわれる諸行為。労働者は,自分の商品―労働力―を資本家に売る。資本家が労働力を買う貨幣は,彼にとっては価値増殖のために投じた貨幣つまり貨幣資本である。それは,支出されたのではなく,前貸しされているのである。(…)ここでは,ただどんな商品販売でも起きることが起きるだけである。すなわち,売り手は,使用価値(ここでは労働力)を手放して,