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46 高知論叢 第95号貨幣でその価値を受け取る(その価格を実現する)。買い手は自分の貨幣を手放して,そのかわりに商品そのもの―ここでは労働力―を受け取る。」(Kapital,Ⅱ,S. 378f., 圏点―マルクス) なる....

46 高知論叢 第95号貨幣でその価値を受け取る(その価格を実現する)。買い手は自分の貨幣を手放して,そのかわりに商品そのもの―ここでは労働力―を受け取る。」(Kapital,Ⅱ,S. 378f., 圏点―マルクス) なるほど,労働力は,「売りによる使用価値の形式的譲渡と買い手へのその引き渡しとが時間的に離れている商品の場合1)」(Ibid., Ⅰ,S. 188)をなし,労働力の使用価値は,販売時点において形式的にのみ労働者から資本家に譲渡される。しかし,労働力の使用価値が生産過程ではじめて実証されるということがらは,それ以前の使用価値の存在を解消しない。「商品はすべて,可能性から見て使用価値であるにすぎない。」(MEGA, Ⅱ /3・1, S. 68)「使用価値としての労働能力」(Ibid., S. 42) というとおり, 労働力の使用価値は, その消費に先行して存在する。労働力は, 市場ですでに特有な使用価値をもつため, 商品として販売対象になる。ところが, このばあい, 労働力は, 一定期間に限定した販売形態を本質的な契機としてもつため2),その使用価値は,生きた労働というすがたであらわれる。労働力の使用価値がその一時的な使用権だということは, 労働力の販売時点で, 特定分量の生きた労働のひきわたしが契約されることにほかならない。「ここで直接4 4 に売られるもの」(Ibid., Ⅱ /3・6, S.2170,圏点―マルクス)は,「労働能力の使用4 4 4 4 4 4 4 そのもの」(Ibid., 圏点―マルクス)であり,「事実上労働そのもの4 4 4 4 4 4 」(Ibid., 圏点―マルクス)である。「資本家が交換で手にいれる生きた労働時間は,…労働能力の使用価値である。」(Grundrisse,MEGA,Ⅱ/1・2, S. 555)「労働力の使用価値つまり労働そのもの」(Kapital,Ⅰ, S.208)。ちなみに,第 2 篇「貨幣の資本への転化」で,「労働力の使用価値」(Ibid.,S. 188)がかたられるかぎり,労働力がその使用価値である労働としてあらわれる関係はすでに説明ずみである。 そこで,労働力商品は,その商品体とは別個の生きた労働という使用価値の形態をとるとすれば,商品の基本形態としての物質的財貨のばあい,使用価値そのものが商品体として価値をもつ関係にあることから,労働力の販売のばあいも,表面上,その使用価値の生きた労働が商品体として価値をもつものとしてあらわれる。物質的財貨のばあい,使用価値が販売対象としての商品である事情から,労働力のばあいも,商品の基本形態の販売方法になぞらえて,使用