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生産物の商品化と労働の商品化47価値としての生きた労働が販売対象である商品体だというとりちがえが合法則的になりたつことになる。労働力にあっては,一般商品である物質的財貨のばあいにならって, 譲渡される対....

生産物の商品化と労働の商品化47価値としての生きた労働が販売対象である商品体だというとりちがえが合法則的になりたつことになる。労働力にあっては,一般商品である物質的財貨のばあいにならって, 譲渡される対象の生きた労働が商品体だとみなされる。こうして,使用価値が商品体として価値をもつ物質的財貨のばあいにいわば右ならえして,労働力のばあい,使用価値である労働そのものが商品体とみなされ,労働の価格が成立する。「賃金は労働者と資本との交換の産物である。」(Grundrisse,MEGA, Ⅱ /1・1,S. 215)「賃金労働者が無償で労働することを貨幣関係がおおいかくす3)」(Kapital, Ⅰ,S. 562)とは,売買関係が労賃形態を成立させる社会的条件だというのとおなじである。 ひるがえっていえば,物質的財貨の販売を商品販売の基本方法にすえ,そこから労働の価格のしくみを本源的にといたのが,第17章でのべられた第一の根拠にほかならない。「資本と労働とのあいだの交換4)は,人間の知覚には,さしあたりは他のすべての商品の売買とまったく同じ仕方で現われる(sich darstellen)5)。買い手は或る貨幣額を与え,売り手は貨幣とは違った或る物品(ein Artikel)を与える。法的意識はここではせいぜい素材の相違を認めるだけで,それは,法的な対等を意味する次のような言い方に表わされている。Do ut des, do ut facias, faciout des, facio ut facias.」(Ibid., S. 563) ここで, 最大限注目すべき要点は, 資本家と労働者とのあいだの交換取引が,物質的財貨である商品の売買の仕方にならってあらわれるという規定にある。「他のすべての商品の売買とまったく同じ仕方」とは,商品の基本形態としての「物品」の売買の仕方をさす。商品としての物質的財貨の販売は,労働生産物であるか否かという面で労働力とは対照的な性格をもちながら6),労働の価格をみちびくさいの原点の位置をしめる。そして,物質的財貨の売買の仕方とは,具体的には,使用価値そのものが商品体をなし,価値をもってあらわれる関係をいみする。物質的財貨と労働とは,使用価値としてみたばあい,たんに「素材の相違」のみ存在するにすぎない7)。そこで,物質的財貨と労働とは,特定の欲望をみたす使用価値としては区別されないため,前者がそのまま使用価値として商品体をなすとすれば,それとまったく同様に,後者も使用価値の