095号

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金融ユニバーサルデザイン(上) 3最大限可能な限り,すべての人々が利用できるものであること。」 この定義で,「改造を必要とすることなく」という言葉は,いわゆる「バリアフリー」とは違うことを言い表したもの....

金融ユニバーサルデザイン(上) 3最大限可能な限り,すべての人々が利用できるものであること。」 この定義で,「改造を必要とすることなく」という言葉は,いわゆる「バリアフリー」とは違うことを言い表したものである。いろんな運動能力や知覚機能が衰えている高齢者や障がい者は,生活を送る上でさまざまな困難や障がいに直面する。このような障壁(バリアー)を一つ一つ取り除いていこうというのがバリアフリーである。ところがユニバーサルデザインは,そのような追加費用が高くなる事後的対応策ではなく,設計や開発段階からあらかじめそのような障壁が無いように取りはからっていこうという考え方である。 同様に,この定義にある「特別のデザインを必要とすることなく」という文言は,いろんな障がい者向けの特別仕様の道具や製品,設備で対応するのではないことを示している。これだと費用もかかり高価なものになり,一部の人しか利用できなくなる。それよりも設計や開発段階ですべての人が利用できるようにすれば,社会的な費用も安くなり一般的な普及が可能になる。 したがって,誤解されていることが多いが,ユニバーサルデザインは,高齢者や障がい者のための特別デザインを目指すのではなく,「みんなのためのデザイン(Design for All)」を目標においたものである。 またこの定義には,「最大限可能な限り」という但し書きが挿入されており,この理解についてはいろいろ議論がある。わたしはこれは,状況によっては改造や特別デザインが必要であり,そのほうが望ましい場合もあり得ることを示したものと,理解した。3) ある時点で現実に存在している人間は決して一様ではない。年齢・性別・人種などの多様性,感覚機能・運動機能・筋肉の強さ・体格などの肉体的機能の多様性,知覚能力・認知能力・判断能力・理解能力などの精神的機能の多様性,性格・資質・嗜好などの先天的な多様性,経験・学歴・社会生活体験などの後天的な多様性,宗教・生活文化・食文化などそれ以外の多面的な多様性がある。 経験や学習を積み重ねて健康でたくましい成人がいるとしても,そうではない人の方が圧倒的に多い。子供,老人,女性,妊婦はその点で社会的弱者である。実際にはなんらかの病気や障がいをもっている人の方が普通である。たとえ学習や経験が豊富で健康であったとしても病気や事故にあい障がいをかかえるこ