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生産物の商品化と労働の商品化53む す び 本稿で,商品の基本形態である物質的財貨の販売の仕方を根本前提にすえ,労賃形態成立のしくみをといた。 かえりみていえば,物質的財貨の価値は,その生産にようする労....

生産物の商品化と労働の商品化53む す び 本稿で,商品の基本形態である物質的財貨の販売の仕方を根本前提にすえ,労賃形態成立のしくみをといた。 かえりみていえば,物質的財貨の価値は,その生産にようする労働分量によって直接規定される。これにたいして,労働力は,それ自身労働生産物ではないため,その再生産に必要な消費財の価値によって間接的に規定される。つまり,労働力商品の価値は,労働生産物の価値の規定を前提にしてはじめてみちびかれる。それとおなじように,労働そのものが商品体として価値をもつ現象は,物質的財貨である使用価値が商品体として価値をもつ客観的な事実を前提にして,派生的に形成される。労働の価格は,物質的財貨の商品化を前提に規定される従属的な関係にある。したがって,労賃形態は,物質的財貨に本源的な商品交換の法則から派生してなりたつ。そのいみで,労働力の価値も労賃の成立も,物質的財貨の商品としての交換法則を論理的な前提になりたつ点で,おなじ性格をもつ。マルクスのいう労賃形態の必然性理解の容易さ 1)は,それが商品交換の法則から派生する合法則性に起因する。まさに,労働生産物に基礎をもつ商品交換の法則は,労働力の価値を労働の価格にボタン一つできりかえる転轍機である。1) 「労賃の秘密(das Geheimnis des Arbeitslohns)を見破るためには世界史は多大の時間を必要とするのであるが,これに反して,この現象形態の必然性,その存在理由を理解することよりもたやすいことはないのである。」(Kapital, Ⅰ, S. 562)