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62 高知論叢 第95号のに,自社外部の諸顧客を持たず,自身では収入を生み出さない。その代わりに,ペアレントは,管轄下の事業諸単位の全体としてのパフォーマンスの向上という観点から,その影響力を,例えば,事....

62 高知論叢 第95号のに,自社外部の諸顧客を持たず,自身では収入を生み出さない。その代わりに,ペアレントは,管轄下の事業諸単位の全体としてのパフォーマンスの向上という観点から,その影響力を,例えば,事業戦略策定の支援や業績管理などの形で33,管轄下の事業諸単位に対して適切に行使することを通じて,価値を創造する(本稿では,このようなペアレントの価値創造機能を,「間接的価値創造機能」と呼ぶことにする。)のであり,他方で事業諸単位と,それらの活動資金の提供者たちとの間を取り持つ仲介者としても活動しているのである34。 ただし,ペアレントは,管轄下の事業諸単位に対して,それらが支払うペアレント維持費用の合計よりも多くの価値を(安定的に)提供し続けなければ,その存在意義を維持できない(当該事業諸単位にとって当該ペアレントの管轄下にある必要性・メリットが縮小する)。また,ペアレントは,競合する他の諸ペアレントよりも多くの価値を創造し, 管轄下の事業諸単位に対して(安定的に)提供する能力がなければ,その存在意義を維持できない(より価値創造能力のある他のペアレントにとって代わられる可能性が高くなる)。彼らはこの後者の能力を特に重視し,「ペアレンティング・アドバンテージ(parentingadvantage)」と名付け,その追求こそが企業の戦略と組織の本質的な目的であるとしている35。 要するに彼らは,管轄下の事業諸単位に対して適切に影響力を行使することを通じて,集合的パフォーマンスを向上させること,すなわち価値創造こそが,ペアレントの本質的な役割(または機能)であり36,存在意義であり,一つの企業の内部に複数の事業諸単位と本社が相互に役割(または機能)を分担しながら共存する主な理由となっている,と主張したのである。(2)ペアレンティング理論に関する諸文献における本社機能分類 以上が,Goold その他の論者たちによって構築されてきた,ペアレンティング理論の基本的部分(その中でも特に本社が担う諸機能に関連する部分)の概要であるが,現在までに公刊された,同理論に関する諸文献の中には,ペアレントの中心的存在である本社が担う諸機能やそれらの分類等について論じているものがあり,参考になり得る諸点が少なくないので,以下に紹介する。もち