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概要:
経営学分野における本社の定義及び関連諸事項に関する一考察67本的には,複数事業企業に限られている点である。これは前述の通り,同理論の出発点からこれまで,研究の対象が複数事業企業であったからであるが,将来....

経営学分野における本社の定義及び関連諸事項に関する一考察67本的には,複数事業企業に限られている点である。これは前述の通り,同理論の出発点からこれまで,研究の対象が複数事業企業であったからであるが,将来的には,同理論に関する研究の進展により,この制限は解消される可能性がある。 第二に,Goold らがこの概念に意図的に付した,ペアレントという,「親」を意味するその比喩的な名称が,必ずしも適切とはいえない点である。親とその第19表 加護野・上野・吉村(2006)における本社機能分類及び関連諸事項の要約名   称内    容具体的機能(例)及び備考ガバナンス機能事業単位を統治し,本社傘下のさまざまな事業が適切に経営されるように牽制をくわえていく機能。財務,決算・経理,内部監査,人事。制度的固定性が強い機能であり,当該機能担当スタッフの削減は困難であるが,逆に増やしても大きな成果は期待できない。戦略調整機能企業全体の長期的な発展のために,さまざまな事業部門の計画や活動の枠組みを決定し,調整を行っていく機能。経営企画,経済・産業・経営調査,財務,予算管理,人事,研究開発,事業・商品開発,営業企画・統括。企業の成長,規模の拡大に伴い当該機能の必要性が増大する。なくても短期的にはとりあえずすむ機能であり,当該機能担当スタッフ削減の対象となりやすいが,無理な削減は業績悪化につながる。資源配分機能戦略調整機能と一対となっており,事業部門が戦略を遂行するに当たって必須の資源である「カネ」「ヒト」を調達・配分する機能。ガバナンス機能によって過去の業績がモニターされ,将来の戦略遂行に必要な資源の配分機能を本社が握っていることで,戦略調整機能は実効性をもつ。共通サービス提供機能各事業部門の共通したサービス機能を本社に集中し,規模の経済を発揮することによって,高品質で効率的なサービスの提供を実現する機能。財務,税務,人事,教育・訓練,福利厚生,法務,広報,研究開発,購買・社内物流,流通・社外物流,不動産等の資産管理,特許・知的所有権等の資産管理,情報システム,総務・庶務・秘書業務。削減対象となりやすく,またアウトソーシングも可能。資料:加護野・上野・吉村(2006)における議論の内容の一部を整理・要約した。