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68 高知論叢 第95号子供たちとの間の諸関係と,ペアレントとその管轄下にある事業諸単位との間の諸関係とは,確かに似ている諸点もあるが,他方で似ていない諸点もある48。よって,「ペアレント」という名称から連....

68 高知論叢 第95号子供たちとの間の諸関係と,ペアレントとその管轄下にある事業諸単位との間の諸関係とは,確かに似ている諸点もあるが,他方で似ていない諸点もある48。よって,「ペアレント」という名称から連想するイメージに惑わされないよう十分に注意する必要がある。 第三に,ペアレントに関する研究のうち,多数の実在する諸企業を対象とした実証的分析とその諸成果については, これまでのところ, その中心的存在である本社に関するものにとどまっている点である。恐らくこれは,先述の,Goold らによって「(ある一つの)企業内部に存在する,事業諸単位以外の残りの部分」と定義されているペアレントの組織的な範囲や機能的な範囲などが,企業ごとに少なからず異なることが,実証的分析を行う上で,非常に大きな問題となるからであろう。また,実際の諸企業の経営者たちや従業員たちに,ペアレントという概念を理解してもらうことについても,その定義文の内容からして間接的,大まか,曖昧なこともあり,決して容易ではない。Young, Gooldet al(. 2000)において実在する多数の諸企業を対象としたアンケート調査を含む実証的分析を行うことができたのは,分析対象を一般に広く用いられている組織概念である本社に限定し,その諸機能を研究目的に沿って大まかに3種類への分類にとどめてそれ以上の細分類は行わず,それぞれの分類区分に入る具体的諸機能(企画,財務,人事,広報など)をできるだけ明確に定めること等の工夫・配慮が功を奏したため,と考えられる。 第四に,これは上記の第三の要注意点と関連が深いが,ペアレントという概念に関して,Gooldらによる従来の定義文は,定義文として不適切であった点である。本章の第一節で示したように,ある概念を定義するためには,類概念と種差を明示することが必要であり,かつ,種差が当該概念の本質的属性であることが必要である。ところが,本節で紹介した,Goold, Campbell and Alexander(1994)における初期のペアレントの定義文(ペアレントは「直接的に諸事業を運営すること以外の何かを行っている」ものであり,「(ある一つの企業について,)最初に組織としての事業諸単位を定義すると,当該企業内部に存在する,事業諸単位以外の残りの部分」である)には,類概念は組織単位と示されている49ものの,種差が示されていない。また,ペアレントの組織的範囲や機能について