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経営学分野における本社の定義及び関連諸事項に関する一考察69も,事業諸単位経由で,間接的かつ大まか,そして曖昧にしか説明されていない。また,Goold and Campbell(2002a)におけるペアレントの定義文(ペアレ....

経営学分野における本社の定義及び関連諸事項に関する一考察69も,事業諸単位経由で,間接的かつ大まか,そして曖昧にしか説明されていない。また,Goold and Campbell(2002a)におけるペアレントの定義文(ペアレントは,「企業の階層組織内において,事業諸単位の外部及び上部に存在するマネジメント諸階層」である)では,ある一つの企業を階層組織(hierarchy)という観点から見ており,ペアレントの類概念を当該階層組織の中の階層(level)とし,ペアレントは諸階層の中でも「事業諸単位の上部及び外部に位置付けられるマネジメント諸階層」である,とすることにより,種差らしきものが示されているが,これもやはり,事業諸単位の概念を経由する,間接的かつ大まか,そして曖昧な表現である50。 このように, ペアレントの定義文については, 従来より改善の必要があったのであるが,近年になってようやく,Goold ら自身の手によって,一定の改善がなされた。すなわち,2000年代前半になると,Goold らはペアレンティング理論をさらに発展させ,例えば,ますます複雑化しつつある企業の経営組織を上手に運営するための方法を開発する方向へと,研究を進めていった。そしてその過程で公刊されたGoold and Campbell(2002b)51において,個々の企業の経営組織の成り立ちをより理解しやすくするために,経営組織の構成単位を,従来のペアレントと事業諸単位の 2 種類への分類から,新たにペアレント諸単位,コア・リソース諸単位,シェアード・サービス諸単位,プロジェクト諸単位,オーバーレイ諸単位,サブ諸事業,事業諸機能,事業諸単位という,8 種類に細分類したのである(第20表参照)52。そしてその際,従来のペアレントの概念は,ペアレント諸単位,コア・リソース諸単位,シェアード・サービス諸単位,プロジェクト諸単位といった,複数の新しい諸概念に引き継がれたのであるが,それらのうち,最も中心的な概念であるペアレント諸単位については,「義務的な全社的諸業務を遂行し,また他の諸単位に対して影響力を行使することにより付加価値を提供する,より上位の階層の諸単位」と定義されている。この定義文と従来のペアレントの定義文とを比較すると,主な改善点として,以下のものを挙げることができる。すなわち,第一に,最小限のコーポレート・ペアレント機能,及び,価値創造的ペアレンティング機能という,ペアレントにとっての本質的属性53である 2 つの諸機能(第17表参照)が, ペアレント諸単