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経営学分野における本社の定義及び関連諸事項に関する一考察75ペアレンティング理論に特有の諸用語に関する説明が必要である。なお,各論者による本社の定義については,本稿の後の章において詳しく検討を行う。44 ....

経営学分野における本社の定義及び関連諸事項に関する一考察75ペアレンティング理論に特有の諸用語に関する説明が必要である。なお,各論者による本社の定義については,本稿の後の章において詳しく検討を行う。44 小沼・河野(2005)「次世代グループ経営モデルの構築」『知的資産創造』2005年 1 月号,pp. 44-57。45 これら 2 種類の諸機能は,Goold らの「価値創造的ペアレンティング機能」を細分類したものとみることが可能である。46 加護野・上野・吉村「本社の付加価値」『組織科学』Vol. 40 No. 2,2006年, pp. 4-14。47 加護野・上野・吉村(2006)における「戦略調整機能」と「資源配分機能」も,Gooldらの「価値創造的ペアレンティング機能」を細分類したものといえる。48 この点についてはGoold らが彼ら自身の著書内で指摘している。Goold, Campbelland Alexander, op. cit., 1994, p. 47-48.49 企業を構成するもののうち,一方を組織単位の一種である事業諸単位とするならば,当然,残りの部分も組織単位のはずである。50 1990年代におけるGoold らによるペアレントの定義文が不完全であったのは,Gooldら自身,ペアレントの本質的属性が何であるか,当時はまだ確信がなかったのではなかろうか。不完全な定義文は緊急避難的措置とみることもできる。51 Goold and Campbell, Designing Effective Organizations, Jossey Bass, 2002b.52 Goold and Campbell(2002a)p. 231のFigure 2. The Extended Parent では,ペアレントをさらにSenior Executive Manager(最高経営幹部(機関))とParent Functions(ペアレント諸機能(部門))とに細分類している。なお,同図においてオーバーレイ諸単位は,プロジェクト諸単位,コア・リソース諸単位,シェアード・サービス諸単位とともに,ペアレントと重複部分を持つ諸単位(拡張されたペアレント)として分類されているが,オーバーレイ諸単位は,外部の諸顧客を持っているという意味では,事業諸単位,サブ諸事業,事業諸機能と同様に,従来の「事業諸単位」を細分類したものとみなすことが可能である。53 『広辞苑』によれば,「本質的属性」とは「一定の事物またはその概念にとって必要欠くべからざる属性の総体」である。よって,最小限のコーポレート・ペアレント機能も,本社として「不可欠」な機能であるがゆえに,本社を内包するペアレントの本質的属性であり,価値創造機能とともに,ペアレントの種差に相応しい。54 従来のペアレントのうち,ペアレントにとって本質的(または不可欠)な諸機能を担う組織諸単位のみをペアレント諸単位として取り出し,ペアレントとして本質的(不可欠)でない諸機能(例:研究開発機能,シェアード・サービス機能,プロジェクト機能など)を担う組織諸単位を,別途細分類したとみることができる。55 この新しい定義文の中で,ペアレント諸単位が企業の階層組織の中で上位に位置付けられている点については,ペアレントに該当する諸単位について個別具体的に実際の諸企業を対象に分析・検証してみるなど,再検討の余地があると思われる。